第1章 −嵐の夜に−
百聞は一見にしかず
その通りかもしれない。
「で、その約束なんだけど。見た感じサンちゃんのが魔力が高いよね?ソウルプロテクトって掛けてたりする?」
『小さい頃から母さんに教えられたので・・・』
最初は何度やっても上手くいかなくて、ソウルプロテクトを掛けなくても問題無いミオを羨ましがったりもした。
今となってはアタシ1人で十分だと思うけど。
「なら大丈夫だと思うけど、それ解かないようにね。生徒の中には感知能力に優れた子も居るから」
『はい』
「あとはー、何かあったら必ず相談する事。手掛かりを見つけたからって独断で動いたり、勝手に出て行ったりしない事!心配になっちゃうから」
上部だけの心配なんて母さんが亡くなる前に魔女から散々されてきたのに、何故だか死神の言う事は上部だけだと思えなかった。
ミオも同じ事を思っているのかアタシの陰に隠れながらも頷きながら話を聞いて居る。
「これが私との約束ね。改めて聞くけど、死武専生になるか・・・それとも敵を増やして闇雲に探すか・・・好きな方を選んで頂戴〜」
『・・・・』
「もし、此処には居られないって言うなら今の一瞬は見逃すから逃げてもいいよ〜」
ミオと顔を見合わせる。
ここまできたら答えは1つしかない。
『よろしくお願いします・・・死神様』
一礼すると、おずおずとミオも頭を下げる。
パチパチと音がして顔を上げると死神様とシュタインが拍手を贈ってくれていた。
「ようこそ、死神武器職人専門学校へ。職人サン、魔武器ミオ両名の特例入学を認めるよ。シュタイン君から後で説明してもらうケド・・・2人には死武専生の義務である99個の人間の魂と1個の魔女の魂の回収は無いものとする。・・・まぁ、固いことは考えないで目的のために此処を利用するくらいの気概でいてちょうだい!・・・・返事は〜?」
『はい』
『は、は・・・ぃ』
こうしてアタシ達のアテのない旅はあっさりと幕を下ろした・・・
敵だと思っていた死武専に保護されるという形で。
急な事で寮の空きが無いらしく、暫くの間はシュタイン(博士だったらしい)の研究所に住む事になった。
隔離された環境で生きてきたアタシ達に死武専の一般教養を教えてくれるらしい・・・。
嫌な予感しかしないんだけど・・・。
まぁ、ミオの笑顔が見れるなら頑張れる・・・かな。
