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A world without you【ツイステ長編】

第1章 one










確かにその通りだ。


未だにがっしりと首元をホールドされたままだし、右肩には顎を乗せられたままだし、恐らく行こうとしたところで離してはくれないだろう。

というか、普通に重いし苦しい。
この人、私との体格差理解してないんだろうか…
いや、理解してるからこそ、わざとの可能性だって大いにある。




「オムライスにしようかな。ごめんねエース、ありがとう」

「りょーかい!」




もう正直昼食なんてなんだってよかった。

いつもいつも平然を装っているけど、好意を寄せている相手に、こんなに密着されて 平常心でいれる人がいるだろうか。

そりゃあ、最初と比べればまだすこーしだけ慣れたけど。
それでも、このうるさい心音が聞こえないか、とか 体育の後だったら汗臭くないか、とか 気になる事は山ほどあるし。





「えぇ〜オムライスにすんのぉ?俺にもちょっとちょーだい」

「いいですよ」




エースが買いに行ってくれている間に、少し離れた場所へ 五人分の席が空いているところを見つけ、そちらへ歩いていく。
…いや。捕まったままの体制で ほぼ強制的に歩かされている、と言った方が正しい。

ほんと、なんでこうもベタベタしてくるんだろ。
私の事オモチャくらいにしか思ってないんだろうなぁ。




「小エビちゃん、放課後モストロラウンジおいでよ〜」

「え"」

「え、なにその反応」




ま、まずい。
不意打ちだったから思った以上に変な反応をしてしまった。

バレンタインデーまで日がないし、今日から放課後はお菓子作りの練習に励もうと思っていたからな…なんて誤魔化そう…




「じ、実はこの間のテストで赤点を取ってしまいまして…補習があるんですよね」

「ふ〜〜〜〜〜ん」

「す、すみません」




椅子を引き、そこへ腰を下ろしながらそう言えば、じとりと疑う様にこちらを見据えながら 私の隣の席へと どすんと音を立てて腰を下ろすフロイド先輩。

何か言いたげな顔をしている…
気まずくなって思わず視線をそらしてしまった。




「赤点取るとか小エビちゃん馬鹿じゃん」

「は、ははは…」





お。
想像していたよりもあっさり引き下がってくれたかも。
よ、よかった…助かった…











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