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A world without you【ツイステ長編】

第1章 one








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あの後、気付けば昼休みが残り僅かで 慌ててオムライスを平らげた。
せっかくの美味しそうなオムライスだったのに、なんだかほとんど味がしない気がした。


ケイト先輩とトレイ先輩の言葉の意図ばかりを考えていて、午後からの魔法薬学の授業ももちろん上の空。
クルーウェル先生に"この駄犬が!!"と怒声を浴びせられたのは言うまでもない。





「はぁ…」




今日ため息を吐くのは一体何度目だろうか。

放課後、グリムはエースに誘われてバスケ部に行ってしまった。
猫…いや、モンスター?が バスケなんか出来るのか疑問だし、どんな事になっているのか見てみたい気もするけど。


でも、今日はお菓子作りに励まないと。
まずは何を作るか、何の材料がいるかを書き出そうと 一旦オンボロ寮の自室へと戻ってきていた。






エースはチェリーパイ、デュースはエッグタルト、ジャックは洋梨のタルト、トレイ先輩はスミレの砂糖漬け、リドル先輩は苺タルト、ラギー先輩はドーナツ。
…ケイト先輩はお菓子じゃない方がいいよね。



後は…って。いや、




「そもそもそんな色んな種類作れる訳ない、か…」




なるべく皆の好きなものを作りたいけど、渡す人数が多すぎるし、何人かで手分けして作るならまだしも、ひとりでそんな沢山の種類を作るのは難しい。
それに、料理が得意って訳でもないし 作った事がないものもある。

いくつかに絞らないと。
無難かつ皆が食べれそうなもの…うーん…





ーーガタッ





中々答えが出ず、頭を抱えていたその時。
自室の扉の向こうから、微かに物音が聞こえた様な気がして。

…もうグリムが帰ってきたのかな?




「グリム…?」




しんとした部屋に、自分の声が響く。
しばらく待ってみても、返事が返ってくる事はない。

気のせい、かな。
ここまでボロボロの建物だと 強い風が吹いただけでも色んなところが軋みそうだし。


そう思い、再び机の上のノートへと視線を戻した。









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