A world without you【ツイステ長編】
第1章 one
「…いえ、もういいんです。次にまた会った時に謝るだけ謝ってみます」
「あらら。…あ!じゃあさじゃあさ、ユズちゃん、俺と写メ撮ろうよ〜!それマジカメにアップしていーい?」
「マジカメに、ですか?いいですけど…」
この人、相変わらずマジカメ命だな。
私なんかとの写真をあげてマジカメ映え…?っていうやつになるとは思えないけど。
ダイヤのマークに顔が描かれていて、LOOK!!やWOW!!等 何やら色々と書かれている派手なスマホケースを装着してあるスマホをポケットから取り出すケイト先輩。
「あ、ユズちゃん。こっちこっち」
「え?あ、はい」
自分の近くへ来るようにと手招きするケイト先輩。
ここでも十分写真は撮れると思うけど、マジカメ映えしないってやつなのかな…よくわからない。
そう思いながらもケイト先輩の隣へ移動した途端。
ぐいっと腰に手を回し引き寄せられ、頬と頬がくっついてしまうんじゃないかと思う程に近くなった距離。
一気に顔へと熱が集中するのが手に取る様にわかる。
「けっ、ケイトせんぱ…」
「ユズちゃん、笑顔笑顔!はいチーズ!」
ちらりとケイト先輩の方へと視線のみを動かせば、その瞬間 "カシャリ"という機械音が鳴り響く。
と同時にすぐにケイト先輩は離れていくが、まだ顔は熱いままだった。
そんな私達を見て、"やれやれ…"とトレイ先輩が額を押さえながら呆れていたのは言うまでもない。
「超いい感じ!ハッシュタグ"匂わせ" "なんちゃって♡"っと…」
「匂わせってなんですか?」
「細かい事はいーのいーの!またフロイド君のその後、どうなったか教えてね〜!」
「ユズ、ご愁傷様とだけ言っておくよ…」
てきぱきと慣れた手付きでスマホをタップしながら、にこにこと上機嫌なケイト先輩とは裏腹に、困った様に眉を八の字にして ぽんぽんと私の肩を軽く叩くトレイ先輩。
何が何だかさっぱりわからないんだけど…
マジカメとフロイド先輩の何が関係あるんだろうか。