A world without you【ツイステ長編】
第1章 one
暫くの間、残された四人の間に沈黙が続く。
未だ心臓の辺りはズキズキと痛んでいる。
"めんどくせぇ"
その言葉が何度も頭の中で響き渡っていて、この凍り付いてしまった場をどうにかしないととか そんな事も何も考えられなくなってしまっていた。
あぁ、嫌われたかもしれない。
いくら考えても理由はわからないけど。
「やっぱりアイツ、おっかないんだゾ…」
「ユズ…大丈夫かよ?どーせいつもの気分屋だろ?気にすんなって」
「…フロイド先輩、オムライスが食べたかったのかもしれないな…」
「え…?」
ぽつりと呟かれたデュースの言葉に、視線をそちらへと向け小首を傾げる。
他のふたりも私と同じだった様で、頭にハテナマークが浮かんでいる様だった。
「いや 俺がオムライスを食べようとした途端怒り出したから、自分が食べようとしていたのに横取りされて怒ったのかと思ったが…そんな訳ない、か」
オムライス…オムライス…?
何かがひっかかると思い フロイド先輩との会話を振り返ると、ある一つの言葉を思い出してハッと息を飲む。
"えぇ〜オムライスにすんのぉ?俺にもちょっとちょーだい"
「そ、それだぁ!!」
「うわっ!なんだよ突然大声出して」
思わずテーブルをバンッと叩きつけ、勢いよくそのまま立ち上がる。
ズキズキと痛んでいたのが嘘だったかの様で、むしろ謎を解明できてスッキリしていた。
「フロイド先輩に、オムライスちょーだいって言われてたんだった…」
「げ…ほんとにそれであそこまで怒ったって事?まじでおっかねぇな…」
「食べ物の恨みは恐ろしいんだゾ…」
「俺がオムライスを欲しがったばっかりに…」
オムライスが原因なら、気分屋のあの人の事だ。
次に会う時にはもう忘れてるだろう。
とんでもない事をやらかしてしまったのかと思っていたから、想像していたよりも小さな事が原因とわかり ほっと胸を撫で下ろす。
原因のオムライスは、先程までほかほかと湯気が上がっていたのに、そうこうしている内に もうすっかり冷め切ってしまっていた。
「ぷっ…はは、あっははは!」
「「「「?!」」」」