第5章 体育祭!!
ガシッ!
「!?」
返答を待たずに私は彼の頭を掴んだ
いきなり頭を掴まれた轟君は、案の定困惑している
そのまま頭を撫でる
ナデナデナデナデ
「い、糸仲…?何して…」
ナデナデナデナデ
「ちょ、おいっ」
ナデナデナデナデ
(……やっぱり耳はないかあ…)
期待していたけどやっぱり無いと分かり、今度は私がシュンとした
まあ当たり前か
人間に耳なんて生えるわけない
個性でもない限りありえないよね。
「糸仲…もう、やめろ……」
「?」
轟君の体力が無さそうな声がした
何事かと思い慌てて見ると
「〜っ、やめてくれ…」
「…」
轟君が顔を真っ赤にして必死に訴えてきていた
「…………(ボン!)」
彼の顔色と言葉で、自分が何をしていたかやっと分かった
(わ、私………あ、頭撫でてっ…)
「〜っ!!」
釣られて私も顔を赤くした
煙が出そうな勢いで真っ赤になったため、2人ともモジモジして話すことができない
「ご、ごめんなさい轟君……」
「ああ、平気、だ……………」
気まずい
気まずすぎる
そして私はなんて事をしたんだ
(や、やばい……今度は耳がプルプル震えて恥ずかしがってるのが見えるっ
でも駄目よ!我慢我慢!!)
未だ見え続ける轟君の耳の誘惑と戦いながら、私は後悔と自責の念を感じていた
すると
「ちょっと充希!浮気するつもり?!」
「うわ、風磨いたんだ」
「いたんだってなんだよ!俺は4位なんだからそりゃいるよ!」
その言葉に、すぐに疑問を覚えた
「…風磨、あんた轟君と爆豪君の前にいなかったっけ?」
「うん、でも充希がどっか行っちゃったからもういいかなって
それに相澤先生からの頼みは聞いてやったしね」
「え?」
「やべっ、言っちゃった」
「どういう…」
「んじゃまたな〜!」
「逃げ足はやっ!」
そそくさと風磨は個性で逃げていった
それはもういつもの事なので気にしないが、「相澤先生からの頼み」とはどういう事なのだろう
「っあんのスカし野郎!今度会ったらぶっ殺してやる!」