第2章 ヒーロー嫌いの女の子
「良かろう」
なんて昔話風に話しながら、沙織からミートボールをさらっていく
「♪」
案外美味しい
ソースが甘くていくらでも食べられそうだ
そんな事をしながら、その日は過ぎていった
学校の帰り道
いつもの通学路を歩いて帰る
「ん?」
目の前に人がいるのが見えた
あれは
「相澤先生?」
名前を呼ぶと、すぐにこちらを向いて返事をしてくれた
「よぉ、調子はどうだ」
「絶好調ですよ」
「なら良かったな
クラスに馴染めそうか?」
「まあまあですね
変な人に見られたりしますけど」
「変な人?」
「心操 人使君です」
「あいつか」
「知ってるんですか?」
「知ってるも何も、あいつはヒーロー科の試験を受けた1人だ
まあ、試験内容と個性の相性が悪すぎて普通科になったが」
「へぇ」
そんな他愛もない話をしながら家へと帰る
「友達とか出来たのか?」
「珍しいですね、相澤先生がそんな質問をしてくるなんて
いつもは合理的じゃないーって言うくせに」
「俺はお前を観察しておく必要がある
それはもちろん学校生活もだ」
その言葉に、思わずため息が出る
「はぁ……相澤先生、そんなんだから女性になびかれないんですよ?」
「いいからさっさと答えろ」
「………まあ数人とは仲良くなれましたね」
「そうか」
いつものこのやり取り
もう8年も、これが続いている
あの忌々しい日からずっとだ
相澤先生が空気を変えるかのごとく話す
「そういえば、お前どこに引っ越したんだ?
まさか孤児院から通う訳じゃないだろう?」
「そのまさか……と言いたいとこですが、残念ながら違います
相澤先生のアパートですよ、しかも隣の部屋
言ってませんでしたっけ?」
「…聞いてねぇ」
「あらら、じゃあ今言いました」
「黙れガキが
大体俺の家の隣に引っ越すなんざ何考えてんだ」
「そんな事言われましても………なんせプレゼント・マイクが激推ししてたんで」