第2章 ヒーロー嫌いの女の子
何か警戒するかのようにじっと見ている
彼はしばらくして、見るのを辞めた
「なんだったんだろね?」
「さあ?彼なんて名前でしたっけ?」
「えーっと」
沙織は話してくれた
彼の名は心操 人使(シンソウ ヒトシ)
個性は「洗脳」らしく、人を操ることが出来るそう
おまけに入学初日から浮いてるようだ
ヴィラン向きの個性だからと誰も近寄りたがらない
「………」
何故見てきていたのだろう
警戒させる素振りなんてしていないし、何よりお互い初対面だ
こちらもじっと心操くんを見る
「充希ちゃんお弁当?」
「………」
「みーつーきーちゃん!」
「あ!ごめんごめん、何でしたっけ?」
「もう!充希ちゃんはお弁当なんだーって言ってたのに」
彼に集中しすぎて沙織の話が聞こえなかった
何とかして取り繕う
「あはは……まあそうですね、基本節約する派なんで」
「へぇー、ってことは自分で作ってるの?」
「はい、良かったら食べます?
さすがに今日は作りすぎちゃったので」
「食べるー!!」
沙織は嬉しそうな顔をして卵焼きをさらっていく
パクッと1口
すると、彼女の表情が輝き出した
「(パァァ!!)」
「美味しいですか?」
「ふふんふふふふっふ!(海老入ってる!)」
「はい、桜海老です
結構自信作なんですよ」
「ふんふ〜♪」
美味しそうに食べてくれる
そういう顔は好きだ
私もウィンナーを食べる
もぐもぐもぐ
「タコさんウィンナー好きなんだ
案外子供らしいとこあるんだね〜」
卵焼きを飲み込んだ沙織が隣でニヤニヤと見てくる
どうやらタコさんウィンナーを充希が食べているのが面白いらしい
その沙織に、チラッと彼女のお弁当にあるうさぎ型りんごに目を向けて笑いながら言う
「沙織、あなたのうさぎさんりんごさらってやりますよ?」
「わぁ!どうかそれだけはおやめ下さいお代官様!!」
「おぬしの態度次第じゃな」
「おぉ、ではこちらのミートボールをお納めくださいませ」