第4章 襲撃
《鎖よ》
呟くと、腕や腰から大量の鎖が生まれる
それを操り、相手を倒す準備を整える
「痛いッ……」
身体中が痛い
何か尖ったものに刺されるような、そんな感じ
でも、歯を食いしばって耐える
大事な人を傷付けさせない
もう二度と、誰にも奪わせない
そう決めたのだ
私がヒーローになりたくないのは
私が、誰よりも自分勝手で
わがままで口が悪くて
要領が悪くて
この世の誰よりも優しくない
だからヒーローにはならない
なる資格なんてない
なるのが怖い
姉さんに見てもらえないヒーローは、嫌だ
「死柄木…お前はここで倒す
何としてでもどんな事をしてでも
お前の好きにはさせないッ…」
充希の瞳に宿るのは、ヒーローとしての強さではない
1人の人間としての強さ
ヒーローになれない"半端者"の覚悟
でもその瞳の力強さは
誰よりも人間らしいその目は
ここにいる全員の中で1番頼もしいものだと皆感じ取っていた
そして、死柄木も例外ではない
「(あの女…これ以上戦わせたら厄介になるな
何より動体視力が良すぎるから脳無の攻撃を見破られる)」
そう思っている合間にも、意思のない脳無は充希に襲いかかった
《蜂ノ針 連突き!》
ふらつきながらも大量の鎖を纏い、私はワイヤーで飛躍する
そして、死ぬか死なないかギリギリの血液量を電流に変え、連続で脳無に突き刺す
「嘘だろ……脳無にダメージを与えてやがるッ」
「まずいですね、このままではあの小娘に殺られてしまいますっ
そうなれば、ヒーロー達がやって来て私達も危ない…」
死柄木達が焦っても、脳無への攻撃は止まない
(4、8、16……もっともっとやらないとッ
回復させる隙を与えないように今連続で刺さなきゃ、今度は死人が出る!)
脳無に突き刺していく回数を数えながら、的確に攻撃していく
今やらなければ次はない
このチャンスを逃せば私は失血多量で死ぬかもしれないから
(だからここで倒さないとッ)