第2章 ヒーロー嫌いの女の子
確かに保護観察は終わりそうにないし、私としても相澤先生が近くにいた方が安心する
だから渋々、そう言った
『お前の入試は免除されてるから気にしなくていい
あと、必要なものはまた今度書類を…』
『へ?せっかく受験勉強頑張ったのに…』
『……何としても落とす訳にはいかねぇんだよ』
『ちぇ』
『あと、その顔どうにかなんねえのか』
『あぁ、このニコニコ顔ですか?』
相澤先生が少しだけ嫌そうに見てくるこの顔
私はさっきからずっと、笑っているのだ
ニコニコと絶えることのない笑顔を浮かべて、相澤先生と話してきている
もちろんそれは今日に限った話ではない
8年前からずっと、私は笑顔を絶やさなかった
口元に手を添えて、口角を上げるようにして笑う
そして話す
『可愛いでしょう?ニコーって』
『俺はここ8年お前が笑ってるところしか見た事ねえよ』
『あはは、女は愛嬌だって母から教わりましたからね
なんなら相澤先生もやります?そのシワが少しはマシになるかもしれませんよ?』
『……お前俺の事ディスってんだろ』
『ふふ』
『当たりかよ……』
『ほらほら、ニコーって』
『おい、やめろやめろ』
こうして、糸仲 充希は雄英高校普通科 1年C組に入学した
お弁当の時間
「充希ちゃん充希ちゃん」
「何ですか沙織?」
「もう、敬語はいいって言ってるのに」
「あはは、すいませんね、私元からこうなんですよ」
膨れた顔をして不満を言ってくる隣の女の子
彼女は取還 沙織(トリカエ サオリ)
私のクラスメイトであり、最初の友達だ
個性は「レアアポート」
鉛筆なら自身の理想的な鉛筆を、眼鏡なら全く新しいデザインの眼鏡と取り替える事が出来るらしい
ぴょんとはねた前髪が特徴だ
「あのね、あっち見てみて」
「へ?」
驚いたが、沙織があっちあっちと指を指すので大人しく見てみる
(ん?)
すると、そこにはクマがえげつないくらいに出来すぎて寝不足なんじゃないかというくらいの人がいた
そして何故か
「なんでこっち見てるんですかね?」
「さあ?」
ずっとじーーーーっと、こちらを見てるのだ
しかも充希を