第4章 襲撃
肘がジンジンと痛い
だが、痛みをこらえなければ
《鎖よ》
そう呟き、体から長い鎖を生み出す
鎖は腰に巻きつけてもまだまだ余裕があり、先端には尖った刃と引っ掛けるためのフックが付いていた
ついでにワイヤーもいくつか生み出す
こちらにも、小さい鉤爪のようなフックを付けた
「よし」
生み出した指輪式のワイヤーを、両手の5本指に装着する
私の個性「マリオネット」は、あらゆる紐状のものを生み出し、操ることが出来る
それが鎖でも、ワイヤーでも
時には服の繊維を操る事だって出来るのだ
しかし生み出すには条件があり、必ず紐状だと認識されたものでなければならない
この指輪式ワイヤーも、紐だと認識されなければ作り出すことは出来ない
さらに、作った紐は意識を失うと消えてしまうため、使い勝手が悪い
(出来ればあまり使いたくなかったけど)
でも、この状況では仕方ない
ワイヤーで高く飛躍する
(どこ、どこにいるのっ……
早く探さないと)
「ッ!あれはっ」
生徒を1人見つけた
黄色い髪の男の子
「電気君!」
上鳴 電気だ
彼は数人のヴィランに囲まれている
「もうッ」
仕方がない
放っておくわけにはいかない
一気に下へと降下し、奇襲をかける
鎖を腕に緩く巻き付けて振り回す
ブン!
「うぉ!」
「っどうした!!なっ!」
「うるさい」
騒ぐヴィラン達の肩を刺す
鎖には、もう1つの個性で微量の電流を流しているのでしばらく動けなくなる
失神させても良いが、血液量を失いたくは無いのだ
「大丈夫?」
全員を倒した後、着地して上鳴君に問いかける
「うェ〜!!」
「え………アホになっちゃってる」
「うェェ〜!!」
アホになりながらも、彼は泣きながらしがみついてくる
アホになっても怖かったのだろう
アホになっても
「ああ、はいはいもう大丈夫だから、ね?」
「うェ!」
「……大丈夫だよね…
電気君、少しの間私に付いてきて
皆を見つけたらすぐにあなたを預けるから」
「うェ!!」