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【ヒロアカ】ヒーロー嫌いの雄英生徒

第4章 襲撃




(じゃあ、じゃあこの音は……)


僅かな期待が胸に膨らむ





シャラン




音とともに目の前に人が現れる

顔は影か何かに隠れていて分からないが、間違うはずはない









「………母さん」



あれは私の母 糸仲 乙女(イトナカ オトメ)だ




「ッ待って!」


母を母と呼んだ途端、彼女はどこかへと行ってしまう

それを慌てて追いかけた








「母さん待って!待ってよ!」











伝えたい事が沢山あるのだ


話したい事が沢山あるのだ





なぜ私だけが生きねばならないのか

なぜ私だけが生き残ってしまったのか


聞きたいことも沢山ある










「待って母さん!
どうして私だけが生きてるの?!どうして私だけ一人ぼっちなの?!」











生きていて欲しかった



どんな形であれ、生きてさえいてくれればそれだけで良かった



姉が死んで、生まれたばかりの弟も失って

さらには母までどこかに行ってしまった

消えてなくなってしまった






なら私はどうすればいいのか

どうすれば、ここに「存在」していられるのか













「お願いだから置いてかないで!
お願いだから……
一人ぼっちにしないで!!」



















泣きながらそう叫んでも、母は止まってくれなかった














「う…お願いだから待ってよ………」


涙を流して悲しむ

でも、どれだけ悲しんでも振り返っても、家族は戻ってこない






だから、父が嫌いなのだ





そして自分も嫌い






自分だけが、父の髪色と個性を受け継いでいるから

大嫌いだ




















目の前に人の気配を感じる



《……………………》


「……………っ母さんあのね、聞きたいことがあるの」


《……………………》













「母さんに鈴の髪飾りをくれたのは、誰なの?」













他にもいっぱいあったけど

沢山沢山あったけど






忘れてしまったその事を

もう一度












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