第3章 1年A組の彼等
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「それじゃあ充希ちゃん!またねー!」
「いつでも遊びに来いよー!」
「ぜひ行かせてもらいますー」
別れ際に皆に返事をする
そうして、足を踏み出して家へと帰る
なんてことは無い、変わらない1人帰り
「…………………」
「………轟さんもこっちなんですね」
「ああ」
変わったことと言えば、何故か轟君と一緒に帰っていた
(気まずい……気まずすぎる………)
なんて思っていると、隣で轟君が喋り出した
「糸仲は…」
「?」
「その、猫が好きなのか……」
「ブッ!」
思い出した
そうだった、さっきの猫の鳴き真似を見られていたんだった
「猫に向かってにゃーって言ってたから
糸仲もそう言った一面があるんだな
皆に言えば………むぐっ!」
「とーどーろーきーさーん?
今なんて言おうとしてました?皆にあの事を話そうって言おうとしましたよねー?」
「ふぃほはかほははよふ…(糸仲と仲良く…)」
「仲良くさせようと言うのは結構ですがくれぐれも内緒にしててください」
「ふぁが…(だが…)」
「く・れ・ぐ・れ・も!」
「…………ふぁかっは(分かった)」
「ならよろしいです」
パッと塞いでいた口を離す
(勢い余って思わず塞いじゃったけど、変に思われてないかな…)
ただそれだけが心配だった
変に思われるのだけは嫌だ
「糸仲は…」
「ん?」
「こういった事もするんだな」
「………」
何を言ってるんだろう
「こういった事とは?」
「今みたいに、思わず口を塞いできたり、声を荒らげたりした事だ」
「誰だってするでしょう?」
「ああ、だが糸仲がするとは思わなかった
ずっと笑ってばかりでそういった事はしないと思っていたからな」
「………変でしょうか」
「何がだ?」
「ずっと笑ってる事です」
「変じゃないが………」
「なら…」
「けど、無理矢理貼り付けてる感じがする」
「……」