第3章 1年A組の彼等
さっき予習訓練で、彼らは人質役とはいえ助けてくれたのだ
おまけに轟君はその後、通称「爆破魔」から助けてくれた
麗日さんが慌てたように言う
「私達は当たり前のことをしただけだよ!
轟君は爆豪君から助けてくれたけどね」
「爆豪の技に反応出来るなんて轟くらいだよなぁ」
皆して轟君に感心している
当の本人は口を開かないが
それでも、轟君はこの中で1番強そうに見えた
「轟さんはA組の中で1番強いんですか?」
気になって聞くと、耳郎さんが答えてくれる
「まあ、爆豪と良い勝負じゃないかな?
轟とあいつは入学してきてからトップの成績だし」
「あの人がですか…」
「糸仲ちゃんは爆豪ちゃんの事嫌いになった?」
「そんな事ありませんよ蛙吹さん」
「梅雨ちゃん」
「え?」
突然、蛙吹さんが席を立ち上がる
そしてグイーッと顔を近付けてくる
(?)
まさに奇跡と呼べる可愛らしい蛙顔が、より一層鮮明に見えた
「梅雨ちゃんと呼んで」
蛙吹さんはこれでもかと言うほど顔を近付けてくる
普段こんなに顔を近くにする機会なんて無いため、どうすればいいか分からず困ってしまう
それでも、蛙吹さんは私の手を取って言ってきた
「え、えっと…」
「糸仲ちゃんとお友達になりたいのよ
だから梅雨ちゃんと呼んで」
「つ、つ」
「梅雨ちゃん」
彼女のその迫力に遂に根負けしてしまった
そして
「つ、ツユチャン……」
聞こえただろうか
最後の方だけ小声だったので耳に届いたか分からない
チラッと見やると
「ふふ、ありがとう
恥ずかしがり屋さんなのね」
と、嬉しそうに笑う梅雨ちゃんがいた
(恥ずかしがり屋?)
梅雨ちゃんがなぜそう言ったか分からない
顔を見るも、ただ名前を呼ばれたことが嬉しいとしか書いていなかった
「?」
「ふふ、可愛いわね(顔を赤くしてて)」
「「分かる」」
「???」
この場にいる皆がそれを感じていたのは、まだ充希には内緒の話