第3章 1年A組の彼等
放課後
「充希、帰ろー」
「ちょっと待っててくださいね沙織」
「は〜い」
教室の外で声をかけてくる沙織を待たせる
(明日はレポート提出だから教科書持って帰らないと
あとは相澤先生の分のご飯も作らないと
あの人は放っておいたらゼリーしか食べないもんなぁ………)
そんな事を思っていると
「糸仲充希!」
「へ?」
急に声をかけられる
そちらを向くと、ボサボサ頭に髭を生やしただらしない先生がいた
その姿はなんともみすぼらしく、ぐちゃぐちゃで
いかにもと言った「寝起き感」が漂っていた
ピキッ(#^ω^)
「相澤先生っ…」
声が怒りのあまり震えてしまった
相変わらずのだらしなさに心底腹が煮えくり返る
教師なのだからもう少しだけ身綺麗に出来ないものか………
(いや、それはあの人には無理か………)
なんて事を考えていると、相澤先生は教室に入ってくる
「な、なん…」
「仕事だ、着いてこい」
「は?仕事?ちょ…」
「ちょっと待ってください」と言いたかったのだが、相澤先生は行ってしまった
「はぁ……」
あの人はいつもこうだ
孤児院に入る前、3ヶ月程は彼の家でお世話になったこともあるので尊敬はしているが、こういう所は嫌い
師匠と弟子として相澤 消太直伝の体術を教えこまれた時も、何も言わずに勝手に進めていく
自然と、笑顔がどす黒く変わっていく
「み、充希……顔っ」
「あら、顔がどうかしました沙織?
私の顔に何かついてます?」
「いやぁ……何でもない………」
「なら良いです」
そう言うも、苛立ちはそう簡単に消せはしない
「………あのニートヒーローめ」
そうぼやきながら、相澤先生のあとをついて行った
「相澤先生〜、一般人の普通科生徒を連れ出してどこに行こうとしてるんですか〜?
行き先も告げないで女の子1人連れ出すだなんてまるで……」
「その言い方はやめろ
俺はロリコンじゃねえ」
「はは、ご冗談を」
「チッ、めんどくせえ……」
少しばかり青筋を浮かべて反論してきたが、こちらも青筋を浮かべて言い返す