Sogni d'oro/GIOGIO Parte5
第2章 シーグラス/ブチャラティ
今度の原因は何か……
聞けば、待ち合わせ場所に到着した直後、急な任務で行けなくなったとの連絡が入ったと──程なくして帰ろうとした矢先、別の女と腕組みしながら並んで歩く姿を目撃してしまったらしい……ミスタの奴……全く、どうしようもないな……
ブチャラティは頭を抱えたくもなった。
「私、やっぱり遊ばれてるだけのかな……?」
「……」
かける言葉が出てこなかった。気休めでも『そんな事はない』と、言ってやるべきなのに……いや、いつもはそう声をかけている……はずなのに──
思案しながら、ブチャラティまでもが頬杖をつき、一息漏らす。その時、タイミングを計ったかのごとく、さっき注文したエスプレッソが2つ運ばれてきた
温かいうちに──と勧められ、ナマエがカップに口を付ける。
『美味しい…』と、呟きながら、生気の抜けた表情を浮かべる。
そんなナマエを目の当たりにしたブチャラティが、何か思い立ったかのように急に席を立つ。そして、真っ直ぐナマエを見据える。
「今から、ちょっと俺に付き合ってくれないか……?」
一瞬目を見張るナマエだったが、その後コクリとうなずいた。そしてブチャラティは、1時間程度、車を南に走らせる。
その車内……ナマエは行き先を聞くわけでもなく、ただ助手席から窓外に流れる景色を見つめる。
時折ラジオから流れるBGMに、ブチャラティが耳を傾ける……いい曲だなと思い、ふとナマエに目を向けると、好きな曲が流れてる──と、はしゃぐ様な声と共に、穏やかに時は過ぎていく。
ドライブデートさながらの気分を楽しみながら、2人は目的地に到着する。
車から降りると、そこに見えるは入り組んだ海岸線──汐風_しおかぜがナマエの髪をとかし、それにのって波の香りが鼻をくすぐる。
2人は早速、浜辺へと向かった。