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49番目のあなた【D.Gray-man】

第8章  前兆



「ティキ!」

「待たせて悪かったな」

タバコをふかせながら、ティキはすみれの元へ駆け寄る。



「そんなことないよ…あの令嬢さんは、大丈夫だった?」

「へ?あぁ…大丈夫大丈夫。

それより、」



むにっ
ティキは突然、すみれの頬を摘む。

「?!」



「ひっでぇ顔。笑

……すみれの方が、大丈夫かよ」


頬を摘まれているため、すみれは半強制的にティキの顔を見上げる形になる。

そこには、何故か悲しそうに、切なそうに眉を寄せて笑うティキがいて、すみれは釘付けになってしまった。


(そんなつもり、なかったのに…)


「…んんーっ!」
暗い雰囲気にしないため、すみれは大袈裟に抵抗した。

「ほら、馬車まで送る。」

ティキはパッとすみれの頬から手を離し、今度はすみれの手を取る。
タバコをふかせながらも、エスコートする。

「もう、痛いなあ!…いいよ、馬車はすぐそこだし」
なんだかこの空気感がむず痒く、すみれは痛いフリをした。
本当は、全く痛くなかった。


「俺がそうしてぇの」

「…ありがと」

「しばらく会えないだろうし」





「え?」

すみれは思わず歩みを止めてしまった。
ついこの間も、ディックに同じことを言われた事を思い出す。

「感な、感。」

「か、感?」

ティキはすみれの手を引き、再び歩みださせる。

「…俺の当たらない、感さ。
ま、次はガーデンパーティあるから。来いよ?」

「うん、ありがとう」

「…やけに素直だな。明日は槍でも降るか?」

「どうせ、私に拒否権無いでしょ!
…それに友人のお誘いだし、ね。」



ティキが再び驚い顔をする。
その反応にすみれも驚く。

(友人なんて、図々しかったかな…?!)

「……友人、ねぇ」

「?」

ティキの反応にすみれは首を傾げるも、あっという間に馬車の前までたどり着く。

「それじゃあ、ありがとう」
すみれはティキの手を離し、馬車へ乗る踏み台へ足を乗せる。

「次はちゃんと令嬢しろよ?仕事しろ、仕事。」
ふーーッ、とすみれにタバコを吹きかける。

「こめんって…!だからってタバコ…!」
すみれはパタパタと仰いでると、



ふわっ

体が宙に浮いた。
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