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49番目のあなた【D.Gray-man】

第18章  人の生



 「あの…」

 「うおおおおっ?!」

 「…あ、…叫び声が、聞こえたので…」

 「ゆ……ゆっ…!!」


 幽霊か?!!!


 「…私は、此処の。清掃員で」

 「そ!!そそそそうか!清掃員か!!!」


 ドッドッドッと騒がしい胸を鷲掴み、涙を滲ませながらバクは冷静なフリをした。
 「幽霊か?!」と叫ばなくて良かった…というより、恐怖で声が出なかっただけだ。そして辛うじて蕁麻疹は出ていない。

 ただでさえ灯りが充分ではない空間で、清掃員の彼女は深くフードを被っていた。フードからは口元のみが見えた。


 「ん?待て!何故こんな所に人がいる…?!」


 こんな所、掃除の必要なんてないだろう!?
 やっ、やはり!!ゆ…ゆ……!!!


 「順路を追って清掃してたら、ここまで来てしまい…」

 「じゅ、順路だと?」


 周りをよく見渡すと、建設途中の地下聖堂は所々に様々な言語で順路が書かれていた。
 しかし、その言語は英語でも中国語でもない、見慣れない言語達であった。


 「これらが読めるのか?」

 「大体、ですけど…」


 だいたい読めるだと?
 俺様でもこれらの言語は習得していない。


 「―――主要か国の言語は、わかるのか?」

 「……はい」

 「ほう」


 思わず感嘆な声が漏れる。
主要ヵ国の言語のアメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダはもちろん、このようなマイナー言語まで習得しているとは……


 「欲しい


 是非とも科学班に来て欲しい」


 「は、はい?」


 これだけの多言語話者はなかなか存在しない。黒の教団は多様言語の報告書を取り扱う。


 「どうやら配属先に間違えがあったのだな」


 すぐに配置替えをしよう!大広間まで案内してくれ!と彼女の手を掴み、意気揚々とバクは歩き出した。


 「…む、無理ですっ」

 「無理じゃない!俺様を誰だと思っている?!」


 アジア支部長であるこの俺様を知らないのか?!
ここの黒の教団員でありながら!!なんて事だ!!流石に認知度が低すぎるのではないか…?!ショックで頭を抱えた。


 「し、支部長、様……」

 「なんだ!俺様のことを知っているではないか!」

 「そ、そうではなくて…っ
 私はっ、此処で


 償わないと、いけませんから」


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