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49番目のあなた【D.Gray-man】

第8章  前兆



「事業が上手くいってない上に…だからこそ、かしら?
なんだか危ない事業にも、手を出したとか。」


大丈夫なんですの?と、彼女は楽しそうに私に問い詰める。





(一体、何の話……??)




最近、新しい事業に手を出したのは、何となく察していた。
叔父叔母は、すみれにはそのような話は一切しない。


突然の話で、すみれは話についていけなかった。
すみれが黙っていると、可愛らしい彼女の口から似つかわしい言葉が出る。

視界の端で、ディックが彼女の飲み物の給仕をしているのが見えた。






「あら!自分の家のことなのに、ご存知なくって?」



(…私、)
暑い夏なのに、すみれの体は指先までどんどん冷えていく。



「そうよねえ!!あなたってご家族と明らかに違う、アジア系で…」



(引き取られた子とはいえ、家の事。
本当に何も知らないんだ…ーーーーー)


すみれは泣きそうになりながら、
力の入らない体で、膝の上に置いてある手をギュッと握るとーーーーー










ーーーーガチャアンッッ



突然、ガラスの割れた音が響く。
彼女のティーカップが突如割れ、中身の紅茶は彼女のドレスへ、見事に降り注がれた。



「キャッ!ドレスが!!」

「お怪我は御座いませんか?!」
使用人が何人か駆け寄る。

「してないわよっ!それよりドレスが…っ!!」

「た、大変だわ。ドレスの替えは?」

すみれは俯いていた顔を上げ、彼女に問う。
キッと、彼女はすみれを睨みつけ、とんでもない言い掛かりをしてくる。


「持ってきてないわよっ!貴方ッ、私のお茶に何かしたんじゃーーーー」











「では」

ティキの声が、しん…と部屋に響き渡った。
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