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49番目のあなた【D.Gray-man】

第8章  前兆




聞きたい
ディックに、聞きたい





このお茶会で、何を見て、何を聞いたのか。
でも、怖くて聞けない。


「〜〜で、ーーーでしたのよ!」
「まあ、✕✕✕は、○○○で?」
「@%$#*」


駄目だ、お茶会の会話も頭に入ってこない。
あんなに貴族令嬢するって、気合入れたのに。

ディックが淹れてくれたハーブティーに口をつけることさえ出来ず、すみれはお茶会どころではなくなってしまった。


(お茶会終わればすぐ会えるって…こうゆうことだったの?!?)


使用人をしているディックを盗み見る。
ディックはこちらの視線に気づき、ニコッと笑顔を作る。

「…ッ!」
(わざとだ…!私が困惑してるの、わかってる!)


いつもは子息の格好をしているが、今日はYシャツにシンプルなベスト、黒いスーツのパンツ姿だ。

普段の格好も似合っているが、今日の姿は
洗練されているというか、出来る男というか、

何ていうか、やっぱり、



(か、かっこいい……!)





けど、やっぱりそれどころではない。

ディックは、ティキと私の会話を聞いたのだろうか。
私の意中の相手が、“眼帯くん”であるという話を。
“眼帯くん”なんて、ディック以外、いない。


私の気持ちを知ったら、ディックはどうするのだろう?
今以上の関係になれる?
フラレて、もう会えなくなる?
会えたとしても私は、何事もなかったように振る舞えるのか…





きっと、無理だ。




再び、ディックを盗み見る。
とても手慣れた様子で給仕をしている。

(話は、聞かれてなかったのかな…?)



私の反応を、面白そうにしているディックの姿を思い出す。
あの様子だと、会話は聞かれてない。
のでは……ないかな?!


すみれは一人でもんもんと考えていると、





「そんなに緊張するなって」

すげぇ百面相してるさ?と、すみれにだけ聞こえるように耳元でディックが話しかける。

吐息がかかり、くすぐったい。
かあっと顔が熱くなるのがわった。



「…お茶会終わればすぐ会えるって、こうゆうことだったの?!」

すみれもディックにだけ聞こえる声量で声をかける。

「…ま、そうゆうことさ!」

言ってくれれば、良かったのに…!

「だから」
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