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49番目のあなた【D.Gray-man】

第8章  前兆




「〜〜〜〜ちょッ!?」

「そんじゃ、行こうぜ」



戸惑うすみれを気にもせず、ティキはすみれの手を引き歩き出す。


「え、どこに?!」

「お茶会の続き。今度は楽しむだろ?」


リベンジするだろ、と挑戦的な笑みをすみれに向ける。

(えっ…?!)

何で、わかったんだろう。

ティキの来賓客の子息令嬢に失礼な態度をとってしまったので、リベンジというか、お詫びしたいと思っていた。


「な、なんで、そう思ったの?」

「さあ、なんでだろうな?
…すみれのことは、何でもお見通し♪」


ティキはゆっくり振り返り、すみれを見つめる。
すみれを見つめる目が優しくて、だけど軽やかな雰囲気はいつものティキそのものだ。



「ありがと、ティキ。ねぇ、わがままついでに……、」

「ん?」

「リベンジ、したいの。
……エスコート、してくれる?」


ティキはすみれからのお願いに、驚いた顔をした。
しかし、それは一瞬で。
誰もが見惚れるような、色気溢れる笑みを浮かべる。


「…もちろん、喜んで。レディ」

すみれの手を引いて、再びお茶会へ歩き出した。






しっかり、お茶会で令嬢をしよう。
私の評判が悪くなれば、叔父様や叔母様の評判も落ち、迷惑が掛かる。

そして主催者であるティキの顔に、泥を塗るわけにはいかない。

今まで、きちんと行っていたことなのに。
当たり前に、令嬢を演じてきたのに。


(恋は盲目って言うけど…あながち間違ってないなあ)

自分の行動を振り返り、反省する。


(ディックのプレゼントも、ケーキも準備してきたし。
帰宅してからでも、ちゃんと祝える。)


そして、ディックに言われたことを再び思い出す。






『ーーーお茶会終れば、すぐ会えるさ。
先約だし、ちゃんと令嬢してこいよ?』





大丈夫、ちゃんとやれる。


「…よしっ!」

「……握り拳なんか作って気合い入れちゃってるけど、お茶会だからな?笑」

「私はこれぐらい気合入れないと、貴族令嬢できないのっ!」

「はいはい」






ティキは呆れたように笑いながら、お茶会の来賓客が集まっている所まですみれをエスコートする。
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