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49番目のあなた【D.Gray-man】

第8章  前兆




(…ディックも!

何でもっと早く、誕生日のこと教えてくれなかったのかしら!!)


出来事は、数日前に遡る。



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ディックとささやかな七夕をしてから、早数日。

少しぎこちなく感じたこともあったが、今は穏やかに二人で過ごしている。
お互い調べたいものを調べ、勉強をし、たまに雑談。


(…あぁ、やっぱりこの日々が無くなるなんて、考えられない。)






ーーーーーディックが、好き。


この気持ちは、間違いない。
もう、確信してしまった。


チラッと、ディックを盗み見る。


(こんな年下のくせに…)


窓際に肘を付き、分厚い辞書のような難しい文献を、真剣に読んでいる。
もう、いつもの光景なのに



(……格好いいなあ。)


ディックからすぐ目線を外す。
緩んでしまいそうな口元と目元を、きゅっと結ぶ。


(ダメダメ!こんなんじゃ、私の気持ちなんて簡単に見破られーーーーーーー)










「さっきから、何をひとりで百面相してるさ?」

すみれはいつも面白いけどな〜と言いながら、気づけばディックは至近距離ですみれの顔を覗き込んでいた。



「ちょ…!なにっ?!!」

「いんや?すみれから熱い視線を感じたもんで」


ぐいぐいーっと、すみれはディックの顔を押し退ける。
え!バレてた?!もうディック怖い気が抜けない!!


「えーっと、あれよ!あれ!!あれを返さないとーと、思ってるんだけど!!」

「あれ?」

「ハンカチ!」


そう。
すみれは七夕の日、ディックのハンカチを汚してしまっていた。
そのまま、借りている状態である。



「そう言えばそうさね!でも、すみれ、盛大に紅茶を吹き出してたし…もう駄目になったんじゃね?笑」


そうなのだ。
ハンカチを洗ってみたものの、紅茶がシミになり落ちない。


「う゛…実は、そうなの。全然落ちなくて…ごめんね。」

「謝って欲しかったわけじゃないし!気にせんでいいから、な?」



すみれの頭をぽんぽんと撫でる。
ディックはいちいち格好いい…心臓に悪い、じゃなくて!私!!
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