• テキストサイズ

49番目のあなた【D.Gray-man】

第7章  嘘



「俺さ、最近すごく思うんさ。」

「何を?」



「…すみれには、敵わねえって。」

窓枠に両腕を乗せ、その腕には頭を乗せるディックがいる。
赤い髪が風になびいて揺れている。


「何言ってんの!それは私のセリフだって!いつもディックに色んなこと教わってるよ」

「そうじゃなくて。なんつーか、中身っていうか…人間性?」

「に、人間性?」

ディックの予想外の言葉に、すみれは頭に?を浮かべる。


「いつも大切なことを、すみれに気づかされる。改めさせられる。そんなこと出来る奴、いねぇさ。






…ずっと、すみれと一緒にいられたら、いいのになあ。」


ディックの言葉に、耳を疑う。
こんなに嬉しいこと、かつて言われたことがあっただろうか。

しかし、瞬時に思ったのは、



(ずっと、一緒にいられないってコト、だよね…)



ディックの優しい翡翠色の目に、すみれが映り込む。
このまま、吸い込まれそうだ。


このまま、吸い込まれてしまえたら、ずっと一緒にいられるだろうか。


「私も、そう思うよ。…ずっと一緒にいられたら、いいのにね」

「…ちょっと、言ってみただけさ。…泣くなよ」

ディックはそう言うと、すみれの頬に伝う涙を拭う。

「泣いて、ないもんッ。…嬉しかった、だけだもん」

「すみれは可愛いなあ。…どうしようもなく、可愛い、さ。」

ディックはそう言うと、窓越しにすみれの頭を抱き寄せる。
すみれはディックの匂いと体温につつまれる。


(私は、やっぱり…










ーーーーーーーーディックが、好きだ。)



ずっと自分を誤魔化していた。
だって、報われることが無い想いだから。

いつ恋におちたのかも、わからない。
気づいたら、好きだった。




「…ディック」

「ん?」




ーーーーーー好き、だよ
/ 355ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp