第1章 再会
共有の女性洗面所にて顔を洗う。
鏡を覗き込めば目の下のクマが酷い顔がそこにあった。
(うわあ…また徹夜しちゃったなあ。)
黒の教団の科学研究員になって早数年。
こんなことは日常茶飯事である。
以前はアジア支部で勤務してたけど、ここまで激務ではなかったよなあ。
すっぴんに無造作に束ねられた髪。
年頃の女なのにこの有様ときたら。この上なく残念だ。
「リーバー班長に、ヨダレに涙顔見られるって…」
あ、顔に服のシワの跡ついてる…なんて、独り言をこぼす。
(そういえば、夢を見たような…)
悲しくて 怖くて 苦しかった
でも
懐かしくて とても嬉しかった
うーん、と鏡の前で顎に手を当てて思い出そうとするも、ぼんやりとした感情しか思い出せず。
「…やばい!時間なくなるっ」
慌てて共有洗面所を後にする。
(私、臭くないかな)
女性として有り得ない行動だと思いつつ、くんくんと服を嗅ぐ。
(服だけ着替えて、朝食食べに行こう。)
とあるいつもの日常。
そう、この日まではそう思っていた。