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49番目のあなた【D.Gray-man】

第6章  願わくば



そっか、ばっちり見られてたのか。
そうだよね、止めてくれたんだから…


キスをされそうになったことより、ディックに見られたことに胸がズキンとした。

恋愛だって年相応に経験してる。
何故だろう、キスをされそうだった事実のショックより、今はディックに見られたくなかった気持ちが大きい。
だから、笑ってこの話は流してしまおう。


「…やっぱり、そうだよね!?ティキもなんで私なんかに手を出そうとしたのかなー!そんな雰囲気じゃなかったけどなー!あはは」

「…すみれは平気なのか?」

平気か、という問に疑問符が浮かぶ。
平気も何も、ディックが阻止してくれたんだから

「? 平気だよ!」

「平気じゃない。」

「え?」







「すみれが平気でも、俺は平気じゃない。」

ディックの困ったような、怒ったような


切ないような

そんな表情を見て、私の胸がきゅっとなる。
何故彼がそんな顔をするんだろう。

「俺は嫌だったし、不安になったさ。」
ディックは手を伸ばし、私の頭をポンポンと軽く叩くと、そのまま優しく手を添える。

そんな風にされると、蓋をした感情が溢れ出す。

「…私も、本当は嫌だよ。初対面の人に、突然そんなことされるの。」

ディックは黙って聞いてくれる。

「でも、ディックが助けてくれたから、そんなに嫌な思いはしなかったよ。…ありがとう。」

「…ん。」
ディックは短く返事をし、優しい笑みをむけてくれた。

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