• テキストサイズ

49番目のあなた【D.Gray-man】

第6章  願わくば






急に、ティキの顔が近づいた気がした。
そして、この状況は何だろうか。

ティキの顔が至近距離にあり、誰かの手で私の顔の下半分(主に口)を覆われている。

手の主を見ると、






ーーーーーーーーーディックだった。


「んんッ?!」
(え?!何この状況…!?)

「ちょーっと失礼するさ!」

ディックは私の口に当てていた手を首にまわし、がんじがらめにする。
もう片方の手は私の腰に巻き付いている。

ディックの動きは一瞬で、私は後ろからぎゅっと抱きしめられている状態だ。

(わ、わ、わ…!!?)


「あーあ、邪魔が入っちまった」
ティキは楽しそうに言い、立ち上がる。
ねえ、ティキは何しようとした…?!え?!

「…俺はそろそろ退散かな。」
んじゃ、またな♪と言い、ティキは自分の私物をまとめ去って行った。


(立つ鳥、跡を濁し過ぎだ……)

ティキが去る姿を、ディックと見送る

「ディ、ディック…?」
顔を上げると、そこには怒ったような、困ったような、気まずそうに頬を赤らめるディックの顔があった。
私に見られないよう、ディックは顔に慌てて手をあてた。

なんていうか、グッとくるものがある。
か、かわいい…

「…ちょっと、俺に時間くれねえ?」













建物の中に戻り、ディックとラウンジのバルコニーにいる。
バルコニーは小さいものがいくつもあり、各々話に花を咲かせている人達がいた。

このバルコニーも、私達だけだ。
そして美しい庭園がよく見える。


「ん、飲み物取ってきた」
「あ、ありがとう!」
グラスを受け取り、喉を潤す。

どうやらディックは、仕事で舞踏会に来ていたらしい。
いつもより正装で、実年齢より大人びて見える彼はとてもキレイに着こなしていた。
眼の保養だなあ


「来てたなら、すぐ教えてくれればよかったのに!いつ私がいることに気づいたの?」

「ん?さっき声を掛けたときさ。(最初から知ってたとは言えねえ…)ていうか、」

ディックはグラスを置くと、ビシッと私に指を差し、つめ寄る。
び、びっくりした

「危機感なさ過ぎ!!!流石にさっきのは、キ……手を、出されてただろ?!」

あ、キスって言おうとした、多分。
/ 355ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp