第17章 想い思われ反発して
顔をほんのり赤らめ、少し呂律が回らないユウ。
なんか分かんねぇけど、すっげー珍しいもん見てる気がする。
いや、ホント。
ユウって酒なんか普段飲ま飲まなさそうだし、こんな風に酔わないだろ?
付き合いも浅いから、ホント知らねーけど。
でもなんかそんな気がする。
「そろそろ科学班とこ行こうかなーて」
「そうじゃねぇ、アイツ…すみれ、だ」
「へ、すみれ?」
「お前、すみれをどうしてーんだよ」
「…………は?」
周囲はビンゴ大会で大盛り上がりのはずなのにオレは静寂に包まれた気がした。
どう、……って……
「すみれを遠ざけてーのかよ」
「は?んなわけねーさ」
遠ざけたい訳がない。
むしろもっとすみれの傍に居たい。
なかなか上手くいかないのが現状だが。
「じゃあ傷つけてーのかよ」
「は?!んなわけねーだろ!」
「ハッ、テメェがそうゆう事してんだろーが」
「!、んなワケ…」
「んなワケあんだよ」
「ッ!」
「テメェとすみれがどうなろーと、オレの知ったこっちゃねぇ
オレの近くでゴタゴタと、うぜーんだよ」
「オレは!すみれと…っ」
言葉が続かなかった。
オレはすみれと、どーしたいんだ?
「あ!ラビぃぃ〜っ!探したよぉ?」
「うぉっ?!」
「……チッ」
総務課のオネーサンが突然、オレの首に抱きついてきなさった。さ、酒臭…っ!
「アタシとクリパしよ〜?」
「ちょ、今は…!」
「テメェのそーゆーところ言ってんだ」
「ウゼーから部屋戻る」とユウはガタッと荒っぽく席を立ち、去ってしまった。
そんな一部始終を見るものが、ひとり。
「…いいなぁ」
ラビ、あっちで凄く楽しそうだ
総務課のオネーサンもいるもんね
「へへ、いいでしょー!このTシャツ!」
「あ、う、うん!ジョニーに似合ってる!ビンゴ大会、良い景品だったね!」
すみれは寂しさを吹き飛ばすため、誰かの飲みかけのビールジョッキを奪い取り勢いよく煽った。
「んぐぅ…ぷはっ!あ、私、ビンゴになったー!」
「景品もらってこいよ!」
「…ふぁーい!」
すみれはフラフラしながら壇上へ上がっていった。