第17章 想い思われ反発して
『お前、すみれをどーしたいんだよ』
ユウの言葉が頭の中でぐるぐると回る。
「どーしたい、か…」
当の本人のオレもどうしたいのか。
ユウが立ち去ってから、総務課のオネーサンはお仲間のオネーサン達の元へ丁重にお帰り頂いた。
オネーサンを勘違いさせた節はある。
それに周囲から“恋人ではないか”と噂されていることも承知済みだ。
お洒落で、キレイで、華やかで、とても女性らしいオネーサンだ。そんなストライクのお姉様から好意を寄せられて悪い気はしない。
(…ま。それだけの話さね)
オレ自身のこの見た目と言動で周囲からどのように捉えられるのか、またはどのように見られているかなんて理解している。
自分で言うのもアレだが、結構人気があったりする。あ、もちろんユウ程じゃねーけど。
(…ホント、オレはどーしたいんだろーな)
この“ラビ”という名のオレは、黒の教団に馴染むための仮初めの姿だ。
今だって、頭ではこんなことを考えているが表面上は笑顔を貼り付けてパーティーを楽しんでいるように振る舞っている。
(…パーティー、適当な理由見つけて
抜けちまおうかな)
…と、思っていると、
ガシャーンッ
「……また科学班だな」
十中八九、科学班が起こした騒ぎのせいでシリアス気味の思考をぶち抜かれた。
「何の騒ぎさ………は?!」
そこにはあまりにも衝撃な光景があり、開いた口が塞がらない。
「やったぁ〜〜〜〜うふふふ〜〜〜」
「もう〜〜すみれ!飲み過ぎだってば!」
「えへへへへへへ〜!ジョニー、だってぇ、嬉しくってぇ!…ひっく」
「おい!誰だすみれにこんな飲ませた奴は?!」
「リーバー班長、犯人はジジです!ジジも相当キテます!!」
「ちょ…なんさ?!」
そこにはオレが見たことないすみれの姿があった。
顔が真っ赤なんてもんじゃない。首も手も足も、肌という所は全て真っ赤になっている。
それは見たことも聞いたこともない、真面目でお硬いすみれの泥酔姿だった。
「へは…らってぇー、ビンゴでぇ、コレ当たるなんて〜〜思わないしゃぁん!」
口が回ってない。
つーか、オレが目を離してるほんの少しの間にどんだけ飲んだんさ?!