第17章 想い思われ反発して
チラリとすみれを盗み見れば、今は科学班の皆と大人しく談笑している。
(大丈夫そうさね)
……よしよし、変な酒の飲み方もしてなさそうだ。
穏やかな笑みを浮かべるすみれから視線を外しホッとする………のも、束の間だった。
「よぉし!今日は飲むぞー!!」
「「「「「おー!!!」」」」」
「………おいおい」
すみれの音頭に呼応し、科学班のメンバーは再びグラスを掲げ乾杯をした。
(今日は飲むぞー!じゃ、ねーだろ?!)
科学班のメンバーに揉みくちゃにされているすみれは既に顔が赤いではないか。
今の一瞬でどんだけ飲んだんさ?!
絶対に潰れるだろ?!
あの調子じゃすみれだけじゃなく科学班も全員潰れるさね?!
仕事もそうだが飲み会でも彼らは加減ってもんをマジでしない。全力で取り組むし、全力で楽しむ。
《えーではでは!
みんなのお待ちかねのビンゴ大会始まるよ〜〜〜!!!》
コムイのアナウンスに会場が更にワァッと盛り上がる。
すみれはオレが独り悶々としてることなんてつゆ知らず、「どうか室長作の製品だけは当たりませんように!!!」とホロ酔いの赤い顔で必死に神頼みをしている。
あぁ、もう……!!
「…楽しそうさね」
「どうしたの?ラビ」
「リナリー!うんにゃ、何でもねぇさ〜」
すみれのことを考えていた、とは言えるわけもなく適当にはぐらかす。
「私、兄さんのとこ行って手伝いしてくるね!」
「おー、いってらー!」
「神田のことよろしくねー!珍しく酔ってるみたいだから」
「………あ"?オレは……」
「アイアイサー!」
リナリーはあっという間にコムイのところへいってしまった。
(オレも科学班…すみれのとこ行こっかな)
いや〜でもユウのこと頼まれたしなーいっそのこと一緒に連れてくさねーと、ソワソワしていると、
「……おい、兎。テメェはよぉ……」
「ん?つーか、ユウがどんどん勝手に呑むから飲み比べにならんかったな 笑」
「テメェはぁ…何がしたい?」
“何がしたい?”
うーん、オレが思ってる以上に酔ってんのか?