第17章 想い思われ反発して
どんな目で私を見ているのか、ラビの目にはどんな私が映っているのか。
怖くてラビを視界に入れることすら出来ない。
「…っ」
(なにか、言わなきゃ…っ)
そうは思うものの、発音されるのは言葉にならない息遣いだけだった。
(これじゃあ、肯定してるみたいじゃない…っ?!)
ふと考えが過る
私は、悲劇のヒロインを無意識に演じていた…?
黒の教団に保護され行く宛もない私は、罪を償うために此処で生きることを決めた。
(………ううん、違う…)
身寄りがないとはいえ、私は黒の教団から離れることもできたがそうはしなかった。
何故なら居心地が良かったから。
“幸せになってはいけない”
そう思うのに、此処での日常は幸せが溢れていた。
黒の教団の、科学班の役に少しでも立ちたくて。ついみんなの優しさを真に受けてしまいそうになる。
勘違いしそうになる
(ダメだ…、っ)
そんなの、許されるわけがない
「辛い奴が偉いんじゃない
すみれがそんな風になる必要は無いだろ」
(それって…)
“辛い事に耐えている自分は偉い”
私がそんな風に思っていると、ラビは考えているということ?
あぁ
悲しさを通り越して なんて惨めなんだろう
悲劇のヒロインになりたいんじゃない
辛い事に耐えているから偉いなんて思いたいんじゃない
辛いのも 苦しいのも
悲しいのも、大嫌いだ
私は、ただ………
「…人の厚意ぐらい、素直に受け取っていいんじゃねーの」
それが、できたら……
私は、ただ…、っ
「…私、だって……」
関わってしまった沢山の不幸に
犯してしまった罪に、
「どうしたら、いいのか
わらかないんだ…………ッッ!!!」
許されたい、それだけだ。
「すみれッ…」
だからそれらを無視して
人の厚意を受けることや幸せを感じることに
どうしようもなく、罪悪感を抱いてしまうんだ。
「何がわかるって言うのッ…?!」
違う、ちがうの
こんな事を言いたいんじゃない
「ラビに関係ないでしょ…ッ?!」
ラビは心配してくれてるだけだ
わかってる、わかるってるの
どうしよう、自分が止められない