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49番目のあなた【D.Gray-man】

第17章  想い思われ反発して



「そりゃ戦争から目を背けちゃいけない。
だからって自分を不幸にして、周りに気を使わすのは違うんじゃねーの?


非常事態になった時、いつでも踏ん張れるように。
万全な心身で、今できることをするのがベストなんじゃねーの?」


「私はっ、周りに気を使わせてなんて…!」


「まだわかんねーの?

今、目の前に
すみれのことを思って心配してる奴がいんのに

それに、そう思ってんのはオレだけじゃ無ぇ」


「ッ、私なんかが…
何をしたって、誰も「言うな!!」



“誰も心配しない”


そう言い切る前にラビが言葉を被せた。



「“私なんか”って、言うな。自分を下げるな。
「そんなことない」って、他人に言わせる前ぶりか?」

「そ、そんなんじゃ…!」


(本当に、そんなつもりじゃないっ…!)



口元は弧を描いたようにラビは笑ってるけど、ちっとも笑ってない。
翡翠色の隻眼は突き刺すような冷気を放ち、その瞳の奥は怒気で燃えている。その熱はラビが放つ言葉にもどんどん伝染していく。

何を、そんなに怒って―――――






























「いつまで、そーやって悲劇のヒロインぶる?」




 



「え…?」


ラビのその一言で、時が止まったようだ。


(悲劇の、ヒロイン…?)

誰 が ?



ラビの言葉が頭の中で何度も反復される。


“悲劇の ヒロイン”





誰が、





私が?









知らず識らずに、そんな素振をしていたっていうの…?


言われた意味をやっと理解できた瞬間、頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けた。

座っているにも関わらず、その衝撃で思わずクラっとするもなんとか持ち堪える。


“悲劇のヒロイン”




「……ッッ!!!」


ブワッと身体中の血が沸騰し、顔に熱が、目に涙が、集中していく。





(そんな風に…ッ)


好きな人に

ラビに、そんな風に思われていたなんて


悲劇のヒロインを気取ったことなどないけれど、私の素行が周囲からはそのように捉えられていたことに



(悲劇のヒロインって…そんなことッッ!)



恥しくて、情けなくて格好悪くて
ラビの前から今すぐ消えてしまいたくなった


隣りにいるラビに、顔を向けることが出来ない。










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