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49番目のあなた【D.Gray-man】

第17章  想い思われ反発して




「ホント、オレは…!」

珍しくも、ラビは歯切れが悪そうだ。
例え驚いたとしても、何故ラビが傷ついたような顔をするの?

私が悪い事を言ったみたいじゃない。






「私が幸せに…なる、なんて、さ。

ペアのマグカップなのに、私1人で使うなんて勿体ないしね!」



「…………何で、そんなこと言うんさ?」



「だって、ラビは……“貴族令嬢だった私”を知ってるでしょ?叔父様たちに加担してきたことを」

「それはすみれの意志でしたことじゃ無ぇさ」

「例えそうだとしても、私は幸せになれない。私なんて…」


こうゆう楽しい瞬間にふと後ろめたくなる。
私なんかが、楽しい思いしていいのかなって。
私なんかが――――。


「じゃあ





じゃあ、すみれは罪を犯したとして
もう幸せになったら、いけないのか?」



「……いけないと、思うよ。私はそれだけのことをした」


「質問を変える



罪を犯して償っている奴は、もう幸せを感じたらいけないのか?」

「そんなこと…!私は、ただ…、自分が許せないだけ。

叔父様や叔母様に関わってAKUMAにされた人達を思うと…
そのAKUMAが人を殺し悲しみが生まれ、またAKUMAが生まれたらって思うと……私は…っ」



自分がしてきたことが怖い。
世界中から恨まれているんじゃないかって

黒の教団や、科学班のみんなにすら、見放されてしまうんじゃないかって―――

それが1番、怖くて仕方ない。




「すみれは何も見えてねーさ」

「…見えてない、って?」

何が見えていないと言うのだろうか
自分が関わった罪についてだろうか
または自分が気づかぬ内に、黒の教団では厄介者扱いされている、とか……



「コレ、今も」

ラビは席にたまたま落ちていた新聞を拾い、とある記事を指さした。

その“とある記事”は―――



「今もオレらの知らないとこで“戦争”が起こってて、人が死んで、AKUMAになったとして。

それに胸を痛めたとしても、自分自身を痛めつけんのは。
ちょっと違うんじゃねーの?」



「わ、私が言いたいのは、そうじゃなくて…!」

「いーや、一緒だろ」

すみれの返答を最後まで待たず、ラビは淡々と言葉を続けた。







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