第17章 想い思われ反発して
「治ったんだな」
「え?」
「猫語」
「え、あ、あぁ!
そ、そうなの!あのあとすぐ…っ!」
私がうだうだ悩んでいる間に、ラビの方からその話題を持ち出されてしまった。
「悪かったさ」
「え?」
「ちゃんと、手伝ってやれなくて」
「っ!、ううん、そんな…!
むしろ私の方こそ、迷惑かけてたしっ」
ラビは何一つ悪くないのに、謝らせてしまった。
(私の方こそ、謝りたい…ッ)
しかし、謝るとなるとやはりヤキモチを妬いた問題が浮上する。私なんかにヤキモチを妬かれたと知ったら、ラビは困るだけだ。それに私なんかに好意を寄せられたって、迷惑極まりない話だ。
(そうだよ。私なんかに…)
これ以上迷惑はかけたくない。
だからその話はこれ以上触れちゃ駄目だ。
そして、ラビに言うべきことは……
「…手伝ってくれて、ありがとうっ!」
「うんにゃ。オレがそうしたかっただけさ〜」
「そ、そんな!助かったよ」
何でもない事のように、いつも通りの人懐こい笑顔を返してくれるラビに胸がきゅぅぅぅっと締め付けられた。
「でも、ちょっと残念さー」
「?、なにが?」
「猫語、面白かったのに♪」
「もうっ!他人事だと思って」
「嘘、
可愛かったのに」
勿体なかったさーなんて、ため息混じりで言うラビ。
あまりにも普通に言っ…え、んん?!
「か、可愛くなんて…!」
「それに、今もまだ猫語だったら!
もっとすみれと一緒に居れたろー?」
すみれの手伝いしたかったさ、とニンマリとイタズラ心にほんの少しの寂しさを滲ませるラビに困惑した。
むず痒くて、恥ずかしくて、私はこの状況に耐えれそうにない。
「…っあ、コレ!ラビにあげるっ」
「ん?」
話題を逸したくて、咄嗟に手元に置いていたマグカップをラビに差し出した。
「えぇッ、マジで?!!」
「う、うん」
「このマグカップ、オレに??」
「うん」
「……やったーーー!!!」
「え、あ………ど、どうぞ?」
ぱあぁあーーーっと、花が咲いたようにラビの表情が一変し、私の手からパッとマグカップを受け取った。
見事に話を逸らす事ができたが、あまりの変わり身の早さにこちらが呆気を取られてしまった。