第17章 　想い思われ反発して

「それにしてもコレ…本当にどうしよ」

お酒で微睡む思考回路で景品について悩む。
するとすみれが座っている長テーブルの向い側にヒョコッと誰かが顔を出した。








「お！

ペアのマグカップじゃんー！」





「そうなの、ビンゴ大会で当たっ………、ら」

「ら？」

「ラララらラララ！！！














………ラビ？！！」






「おう！お疲れサン〜」

にしても“ラ”多くね？と、ラビは笑いながらテーブルの上をピョンッと跨ぎすみれの隣に腰掛ける。


(わ、わ、わ！！ラビだっ…！)



嬉しい


会えた



しかし、パーティーの前にあんな事があったため、まだ会いたくなかったような…っ

そんな2つの気持ちがすみれの中でせめぎ合う。


(……いっぱいお酒飲んだから、臭くないかな？！突っ伏してたから、顔に変な跡ついてないかな…？！)


普段は仕事に追われそんなこと気にもとめないが、何故か急に気になりだしササッと手直しをする。



「科学班の奴らはみんな寝ちまったんだな」

「う、うん、そうなの」

「すみれは大丈夫さ？」

「私？」

「すっげー酒飲んでただろ！」

「えぇ？！な、なん、なんで知って…？！」

「ジジとめっちゃ騒いでんの、丸聞こえさ〜」

「うっそ！！そんなにうるさかった？！」


「科学班はいつも賑やかさー」と、いつも通りにラビと会話が弾む。
ビンゴ大会で当てたコムイ製品が当たって大変だったとか、ユウが珍しく酔ってどうだったとか。
普通に会話が出来ている。


(良かった…)


ラビと気まずくなりたかったわけじゃない。
私がラビと総務課のお姉様を見るのが一方的に辛くて逃げ出してしまっただけだ。

だけ、なんだが、


(…いや。私、悪いよね)


勝手にヤキモチ妬いて、勝手に傷ついて、勝手に突き放した。
猫語しか話せなくなった私に、ラビは親切に仕事の手伝いをしてくれていたのに。
私はお礼すら言わなかった。


(なんて切り出したら良いのやら…)


謝りたいけどヤキモチを妬いた事なんて言えるわけもなく。
会話を楽しみつつも何て話を切り出そうか思案する。