第17章 想い思われ反発して
チラッと前方へ視線を向ければティーンズの神田、リナリー、ラビが楽しそうに談笑していた。
…いや、正しく言えば。
参加したくない神田を捕まえているラビと、宥めているリナリーがいた。
まだラビを見ると先程の光景が浮かび、胸の奥がチリッと痛んだ。
(…やめよっ!こんな場にまで辛気臭い気持ちを持ち込むのは…!)
すみれはブンブンと首を振り気持ちを切り替えようと試みる。
《まだクリスマスではないけど、みんな予定があるからね〜!!早めに開催することにしましたッ!!》
「…あは、予定ね〜」
「仕事しかねぇーわ」
コムイの“予定”という言葉に白ける団員達―――特に白ける科学班の姿があった。
「き、聞いてよ!上層部の嫌がらせで増えた仕事を…!!」
そうよ!仕事の怒りをパワーに変えて…!と、すみれが拳を作っていると自身の首にガッと腕を回された。
(えっ、もしかして…!)
こんな事、してくるのは……
「ラ…ッ」
――――――っ、ラビ!
「んっっっっとにィィィ!!アイツ等ときたらよぉぉぉおっ!!!!」
「ジ、ジジ?!!」
ラビ、ではなく
怒り心頭のジジであった。
「上層部の奴ぁッ!クソくらえー!!」
「ちょ!ジジってば、もうお酒臭い…ッ!」
「おいおい、まだ乾杯してねーぞ」
ジジとリーバーも輪に加わる。
猫語が治った後、ジジと上層部に報告(という名の殴り込み)に行くも再び一蹴されてしまった。ジジは粘強く抗議するも、やはり結果は同じ事だった。
ジジが荒れるのは無理もない。彼はエクソシストやファインダーの立場が少しでも改善されるために闘っているのだから。
(ジジは皆のために頑張ってる…)
私は全然、力になれてない
そんなジジが認めてもらえないのは悔しいし、自分の力不足がなんとも情けない。
(ジジは上層部に全力でぶつかっているのに、ラビの事で悩んだりして…っ)
すみれは自分勝手な恋心―――ラビの事で、心が乱される事を恥じた。