• テキストサイズ

49番目のあなた【D.Gray-man】

第17章  想い思われ反発して



「どーすりゃいいんだよ、すみれ」

「にゃ…? (え…?)」




神田はすみれの両肩をガシッと乱暴に掴み、ラビから引き剥がし背を向けるようにクルッと彼女を回転させた。
そしてズンズンとラボの奥へ進んで行く。


「ちょっ、…待つさ!」

「バカ兎、テメェはソイツとどっか行け」

神田は顎でクイッと総務課の彼女を指す。



「オレは今日、すみれの通訳で…!」

「本人が、テメェはお呼びじゃねーだとよ」

「…っにゃ (…っ神田)」

「なっ…!」

「おら、サッサと行くぞすみれ」

「にゃ、にゃあ (う、うん)」

すみれはラビにお礼を言うタイミングを逃し、神田に連れられるまま彼等を置いてその場を後にした。






「お前、馬鹿だろ」

「にゃ… (う…)」

「もう泣いても誰も見てねーよ」

「……にゃいて、ないよ」

「あ?」

「泣いて、ないよ」

すみれは神田にも背を向けたまま、僅かに肩を震わせほんの少しだけ涙を流した。

「…そーかよ」

勝手にしろ、と神田は冷たい台詞を吐き捨てるもしばらくすみれの傍を離れなかった。

栄養ドリンクの効果も薄れ、すみれの猫語は落ち着き、いつもの言葉に戻りつつあった。





―――――――――
――――――
―――




《みんなー!メリークリスマスー!!いつもお疲れ様ー!今日は存分に楽しんでね〜〜〜!!!》

夕飯時の食堂に響き渡るのは、マイク越しのハイテンションボイス。
本日のイベントを企画した張本人、黒の教団室長のコムイ・リーが司会を務める。



「室長、本当にイベント事が好きだよね」

すみれはクリスマスの雰囲気を楽しむ気分ではなかったが「逆に気分が紛れて良いのかもしれない」と思いながら参加していた。

「あはは!室長、こーゆー仕事は早いのになあ」

「つか、すみれの猫語治ったんだな!」

「ほんっと、お騒がせしました…ッ!」

栄養ドリンクの効果もすっかり切れ、その後は通常通りの仕事に取り組む事が出来た。

《そこー!僕の話聞いてるーっ?!》とコムイに指摘されるすみれ、ジョニー、タップの3人組。


(……でも、ラビの事が気になって…ある意味、通常通りの仕事は出来てなかった、かも)

なんて、1人反省会をする。
/ 355ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp