第17章 想い思われ反発して
「今日、ラビは私の通訳係なんだから!」
…なんて、言えたら。言う資格があれば。
こんな蚊帳の外にされる惨めな気持ちも、女としての劣等感も感じずに済んだだろうか。
(ラビと良い感じなのかなぁって
私は特別なのかなぁって、思う事もあったけど…)
バカみたい
ラビが誰とでも親しくなれる事なんて、知っているじゃないか。
何を根拠に自分は特別だなんて、思い上がって勘違いをしてしまったんだろう。
そんな可愛いわけでも、綺麗なわけでも。人より秀でたものがあるわけでもないのに。
ラビが私に、なんて。
とんだ身の程知らずで。
痛い程に、苦しい程に現実を突きつけられないと分からないくらい鈍感で。
ホント、恥ずかしいや…っ
消えてしまいたい
(なんで、涙が出るの…ッ)
そんな姿、見られたくない
もっと惨めになる
ぐっと瞼を閉じ涙を引っ込める。
何でもない様なフリをして、明るい声でラビに言う。
「…にゃ、にゃにゃっ (私は大丈夫だよ、行って)」
「大丈夫じゃねーさ!俺が通訳してやんねーと…」
「…にゃっ (…いらないっ)」
「は?」
「にゃ、にゃん (通訳、いらないから)」
早く、此処から立ち去って
私が気丈に振る舞えるうちに、行って
お願い
「どーしたさ?」
「にゃー (彼女が待ってるよ)」
本当は通訳してくれた方が助かるし、何よりラビと一緒に居たい。
だけど、いつまでも頼るわけにはいかないのは事実だし、別にラビがいなくったって……
「彼女は…」
「ッ!」
ラビの言葉の続きを聞くのが怖くて、聞きたくなくて。
(何で、こんなに。私の言いたい事わかるの、やめてよ…ッ)
近くを通りかかった見覚えのある人物の腕をを思いっきり引っ張った。
「に、にゃあっ! (神田に、お願いするっ!)」
「「……は?」」
ラビと神田の声が重なった。
「なんでユウさ!?」
「あ"?突然なんだよ、離せ」
「にゃ、にゃあっ! (か、神田っ!)」
お願い、お願いよ神田。ここに居て!
ちょっとだけでいいから、お願い…っ
神田の腕を離さまいと必死にしがみつき、涙を溜めた形相で神田に訴える。
「…チッ」
「!、にゃあ…っ (ダメだ断られる…ッ)」