第17章 想い思われ反発して
『愛だね!』
『愛の力だね!』
…なんて。
ジョニーとタップはからかってきたけど、そんなんじゃない。
私はラビが好きだけど、ラビは違う。
だって、ラビは……
「ラビぃ〜!アタシの手伝いもして〜?」
「は?何で科学班にいるんさ!」
「にゃ…ッ」
(き、来た―――ッ!)
噂をすればなんとやら。
最近ラビと噂になっている総務課のお姉さまだ。
ま、まさか科学班にまで来て顔出すなんて…ッ!
「ラビがココにいるって聞いたから、来ちゃった」
彼女はペろッと可愛く舌を出してみせた。
彼女こそがラビの“好きな人”やら“恋人”やらと噂になっている女性、だ。
私なんかと違って、お洒落で、キレイで、華やかで―――とても女性らしい。
胸の奥がぐるぐるぐるぐると暗いモヤが立ち込める。
「…へー、誰から聞いたさ?」
「さぁ?風の噂よ。アナタ目立つから」
そう、ラビはとても目立つ。
数少ないエクソシストであるという事はもちろん、ラビ自身がとても人目を惹く。
高身長な上にスタイルの良い身体。
遠くからでも映える赤髪に負けず、キレイな顔立ちで―――いわゆる美形だ。
見た目だけでも充分に人を惹きつけるのに、誰とでもすぐに打ち解けてしまう人当たりの良い性格。
……人気が出ない訳が無い。
「総務課の手伝いもしてよ!」
彼女はヌルリとラビの腕に自分の腕を絡み付ける。
「…ッ」
すみれは小さく息を呑み、二人から目を逸らす。
(……こんな二人、見たくなかったな)
総務課の彼女は誰もが認める美貌だ。
以前ラビが彼女を見て『ストライク!!』と鼻の下を伸ばしていたので(ストライクの意味は聞かなかったが)、そうゆうことなんだろう。
おまけにスタイルもメリハリがあって………主張の小さい自身の胸がツキンと痛む。
「ね、来るよね?」
彼女は可愛くおねだりするように、上目遣いでラビに問い掛ける(誘惑するの間違いだろうか)。
(…見たくないっ)
こんな二人のやりとりなんて
ましてや好きな人の、こんな男女のやり取りなんて
見たくない
「今日は先約があるんさ」
「えぇー来てよぉ」
ズキズキと胸が、目頭が痛い。
涙腺が緩みそうになり、口を一文字に固く結んだ。