第17章 想い思われ反発して
「そんでさ、すみれ!この書類なんだけど」
「どれどれ…にゃあ」
「すみれ?」
「にゃあ」
*
「科学班のメンバーほぼ全員飲んだのに、何ですみれだけ?」
「効果が出るには条件があるのか?」
「にゃぁぁ…っ?」
すみれを含めた科学班のメンバーは考察を始める。
「お前ら仕事しろさ…ッ」
「ラビも飲んでみる?」
「おっ!データ取らせて!」
「絶対ェーヤダ!つーか、忙しいんじゃねーの?!」
「忙しいからこそ!効率よく仕事をするためにだな…!」
「んなことより!すみれを治してやれよ!」
「「「「無理」」」」
「は?!」
「そもそもコレ、栄養ドリンクだし!」
「解毒剤とか作ってねぇよ」
「それに猫語になっちゃっただけで、他は困ったことないし?」
「解毒剤作るなら仕事した方がいいだろ」
「にゃあー」
「すみれ、そうじゃねぇーさ?!」
「えっ?!何言ったかわかったの?」
「は?分かるだろ、フツーに」
「「「いや、わかんねーよ」」」
「半日もすりゃあ、治んだろ」
常識人として最後の砦だったであろう、リーバー班長が発した言葉がコレである。
「お前ら、仲間だろ…?!!」
ヒデェ!とラビは青ざめた顔でドン引いた。
「すみれ、やっぱ転職した方がいいさ!!」と彼女の両肩を掴みぶんぶん揺さぶる。
「それより、ラビはすみれが言ってることわかるのか?」
「?、あぁ」
「じゃあ、今日はすみれの側に居てやってくれないか?」
「へ?!」
「にゃ?!」
リーバー班長からまさかの申出にラビとすみれは小さく飛び退いた。
「確かにな〜、すみれもこのままじゃ不憫だし」
「でも効果がいつまで続くかわかんねーのに、ラビに付き添わせるのもなぁ?」
「にゃ、にゃにゃ!(私なら、1人で大丈夫!)」
「い、いや!オレは別に、構わねーさ!」
ラビは慌てて肯定する。
彼にとってはまさかの嬉しい申出であり、棚からぼた餅だ。すみれには悪いが、繁忙期でありながら堂々と彼女の傍に居られる口実なのだから。
ラビは綻びそうになる顔を必死に抑え、すまし顔を作る。