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49番目のあなた【D.Gray-man】

第16章  覚えておいて




「ゴカイ?」

ラビは頭にクエッションマークを浮かべながら私の方に振り向く。




「例えば、ほら…と、特別な関係って、思われそう」

(例えば、そう  恋人 とか)





「いーじゃん」

「えっ」

「そう思わせておけば。…それにオレら、特別な関係だろ?」

ラビはニッと笑う。

「それって…」

どうゆう意味?と、言いかけようとしたところ






「すみれ!ラビ!」

「リっ、リナ、リナリーっ!?」


リナリーが物凄い勢いで私の胸に飛び込んできた。そのため私は勢い余って背面から転がりそうになる。

それもそのはず、彼女はダークブーツを発動させて飛び込んで来たのだから。びっ、びっくりした…!!



「遅いから心配したわ!」

「わ、本当!こんな時間だ!」

「結構時間経ってたんだな」

「遅くなってごめんね、リナリー!」


時計を見やれば自分が思っていた以上に時刻が進んでいる。リナリーが心配してしまうのも無理もない。

先程ラビの言う“特別な関係”とは何か聞きたかったが、自分の腰にきゅぅっと巻き付く可愛らしいリナリーを見ていたら申し訳なくなってしまい「ごめんね、リナリー」と抱きしめた。



……―――♪――♫♪―♫♫♪





すると、大広場から演奏が聞こえてきた。


「―――クラシック?」

何故だろう、少し懐かしさを感じる。


「何か催しがあるのかしら?」

「行ってみよーぜ!」


3人でそこへ足を運んでみると、輝かしい楽器を持った演奏隊が音楽を奏でていた。
大広場にいる人々は互いに手を取り、演奏に合わせてダンスを踊り出す。



「わ!楽しそう…!」

わくわくキラキラした目でリナリーはダンスを楽しむ人々に釘付けだ。


「素敵ね!私、こうゆうの見るの初めてっ」

興奮しはしゃぐリナリーは、いつものお姉さん風とは異なり年相応だ。



(そっか。リナリーは黒の教団で育ったから…)


このような人々の文化や生業に馴染みがないのかもしれない。


(今日ぐらいは、私が―――)


お姉さん風を、吹かせてもいいよね?










「…すみれ?」

「リナリー、御手をどうぞ」



私はリナリーに膝を付き、恭しくお辞儀する。

そう。お姫様にダンスをお誘いする王子様のように。



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