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49番目のあなた【D.Gray-man】

第16章  覚えておいて




「もうすぐハロウィンだね!」

「そうさね。ハロウィンの出見世も多いさー!」





すみれと一番賑やかな大通りの方へ向かって歩き出す。

リナリーも買い物が済めばそちらへ向うと言っていたため、そろそろ合流できるだろう。



「ラビは本屋で…、へ…は、はくしょんっ!!」

「盛大にしたな 笑」

「うう"〜…日が沈みだしたから、冷えてきたねぇ」


すみれは鼻を啜りながら、露わにしている両腕を擦る。


「そんな薄着で来るからさ」

「わっ!?」


オレは団服を脱ぎボスッとすみれの頭から被せた。


「風邪引かれたらたまんねェーさ」

「えぇ!ラビが風引いちゃうよ!!」

「オレ寒くないから、着とけって」


あのちんちくりんファインダーと同じ事をしてしまい、なんか悔しい。
いや、そもそもこんな薄着で来たすみれがいけない。


「じゃあ…ごめんね、借りるね」


すみれは大人しく借りる事にしたようで、オレの団服に袖を通す。
言わずもがな団服は大きくて、肩のラインが合わずブカブカだ。袖からちょこんと出る指。

これはいつぞや流行った萌え袖状態になっている。


(か、可愛いさぁ!!)


オレの団服にすっぽりと包まれるすみれ。
せっかくのオシャレ着も隠れてしまったが、これはこれで男心を擽られる。

サイズがピッタリの自分の服が、彼女の小ささを浮き彫りにする。

ニヤけそうになる顔を抑え、そっぽを向く。


(ヤバいヤバい)


まーでもすみれの事だから、あのファインダーに言ったみたいに「機能性が〜」とか色気のないこと言い出すんだろうなーと思っていたら、


「大きいなあ、ラビの服…あったかい」


ちょっぴり頬を染めて、愛おしそうに団服の襟にスリスリと顔を寄せる。すみれは暖を取っているだけなのだろうが、オレの目からはそのように見えてしまう。


「ラビ、ありがと」

「……、おう」


辞めてくれ、すみれの匂いがついちまう。
オレが冷静にいられなくなる…!!


こんなありきたりの男女のやりとりなんて、飽きるぐらい何度もしてきたはずなのに。すみれが相手だとどうも調子が狂う。

ストライクとは違い、切なくキュンとしてしまう。どうしようもなくトキメイてしまう。



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