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49番目のあなた【D.Gray-man】

第16章  覚えておいて




「前も、こんな事あったよね」

「へ?」

一人悶々としていたら、すみれが話し始めた。







「2年くらい前に、ハロウィンで一緒に仮装した事あったじゃない?
…その時も私ってば薄着で。ラビにストールかけてもらったよね」

「懐かしいさね」

「〜〜私ってば、全然成長してない!一緒じゃない!」

あーもう!と、すみれは頭を抱え大袈裟に空を仰ぐ。

「ははっ、そんな事ねぇーさ」



あの時―――まだAKUMAや千年伯爵の存在を知らなかった時―――のすみれと、今のすみれは違う。

あの時のすみれも生きにくそうだったけど。
それでも人間の真の幸せを考え、いつか未来の幸せのために生きていた。
人間の醜さに幻滅し、くすぶっていたオレはそんなすみれに救われた。


「…すみれのおかげで、今は少しならリードしてやれるさ」


すみれがこうゆう祭り事の楽しさと大切さを教えてくれただろ?

――今のすみれは更に生き難そうで。
大切にしてきた事を、何処かに置いてきてしまっている。



「えぇ?どうゆうこと?」

「まー、昔よりは。オレが楽しませてやれるってコトで」


この世界で息がし難くなっていたオレを救い上げてくれたように、今度はオレがしてあげられたらいいのに。……くらいは、思ってる。


「ふぅん?…じゃあ、





トリック・オア・トリート!
お菓子くれなきゃイタズラするぞー!」

すみれは両手の爪を立て、狼のようにガォーと言ってみせる。


「…」


あぁ、やっぱり可愛いさーと思ってしまうオレは。やっぱり重症なんだと思う。



「…なぁーんてね!と、いうか!何か言って!恥ずかしいじゃないっ」


彼女はほんのり頬を染め、オレがノーリアクションだったことに怒ったふりをする。本人も気恥ずかしかったらしい。

しかし、そんな姿がどうも空元気に見えちまう。




「ほい!」

「え?」

「黒猫と魔女、どっちがいいさ?」

先程購入した可愛らしい飴細工をポケットから取り出し、すみれに差し出す。

「…黒猫」

「ドーゾ♪」


すみれは黙ってスッと飴細工を受け取った。


なんか、すみれの反応スッゲー薄くね?
え、すべった?

オレすべったの??






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