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49番目のあなた【D.Gray-man】

第16章  覚えておいて


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「ラビ、行っちゃった」

行っちゃったというか、ブックマンに引き摺られて鍛錬に戻って行った。


(可愛い、か…)


たったそれだけで、照れてしまう。
『言われてるぜ』って、本人の意志の言葉じゃなくても。
例えお世辞だとしても、舞い上がってしまう自分が居る。しかし、


『彼氏と行かねーの?』

『ふーん』


ツキンと胸が痛む。私に興味ないんだなって、対象外なんだなって。




……なんで私、落ち込んでるの?!
これじゃあラビの事、す、好き、みたいじゃ、



「ーーーーオイ!!」

「わぁっ?!」


低い声に呼ばれビクッと心臓ごと跳ねる。
声の主は神田で、何故か私の隣に居る。


「何度も呼んでんじゃねーか」

「え?そうだったの?」


ゴ、ゴメン と、私は悪くないのに、神田の威圧に負けてついつい謝ってしまった。


「持ってねぇか?」

「何を?」

「髪、縛るモン」

「持ってないなあ」

「チッ」

「舌打ちしないでよ」

「取られたんだよ、アイツに」


神田が悔しそうにブックマンへ視線を投げる。
なるほど、鍛錬中に髪を解かれてしまったのか。だから鍛錬にもかかわらず髪を下ろしていたのか。


「ブックマンて凄いんだねぇ」

「あ"?」

「いや、だって組手で神田に勝てる人って。そうそう居なかったでしょ?」

「負けてねェ」

「負け知らずの神田も、やられちゃったか…」

「だから負けてねェ!髪紐ねーんなら要はねぇ」

「あ、ちょっと待って!」

すみれは自身の髪を結っていたヘアゴムを差し出す。

「これで良ければ使って」

「あぁ。……つか、コレどーやって縛るんだ?」

「ワイヤーポニーって言うんだけど、縛ってあげる」


神田は今すぐにでもブックマンへ再挑戦したいようで、すんなりすみれに髪を結われる。


「相変わらず美髪だなー」

「サッサとしろ」

「はいはい」


ワイヤーポニーって髪をお団子ヘアにするんだけど、したら怒るよなあ。無難にポニーテールにしとこう、うん。そんな事を思いながら神田の髪をまとめていると、


「あーー!!ユウがすみれに髪縛ってもらってる!!ズリィ!」


再びラビが現れた。



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