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49番目のあなた【D.Gray-man】

第16章  覚えておいて



ダグは思いやりのある、優しい青少年だ。
私と同じくらいの身長でどんぐり眼の彼は、実年齢よりも少し…いや、だいぶ幼く見える


(まだ16歳なんだよなぁ)


そう、ラビと同い年だ
そう言えば、ダグはラビを知っているのだろうか



「ねぇ、ラビって知ってる?」

「…最近入団した、エクソシストですよね」

「そうそう!赤髪で、」

「おーい!すみれ〜っ!」


噂をすればなんとやら
鍛錬が終わったようで、ラビが手を振りながらこちらへ向かってきた。


「ーーじゃあ、僕はこれで」

「あっ、ラビに挨拶する?いつか任務で一緒になるかもだし、それにね」

「ーーー結構です!!」

ピシャリ と、ダグはすみれの話を遮った。


「っ、そ…か」

怒られたような、突き放されたような

温厚なダグからひどく拒絶されたような錯覚に陥り、すみれの意志とは否応なしで目に水分がじわじわと溜まっていく。

そんなすみれを見て、ダグは慌てて謝罪した。


「ご、ごめんなさい!そうじゃなくてっ、その……彼が、苦手で」

「……え?」

「話したことはないんですけど、彼の雰囲気というかーーー笑ってない、笑顔とか」


(笑ってない、笑顔?)

ダグの言っていることが分からない
親しみやすい の間違えではなくて?


「口元は弧を書いているだけ。
彼の目もーーー、まるでガラス玉のようで



……あんまり関わりたくないんです」

「そう…なんだ」

「僕、もう行きますね。鍛錬の続きしないと」

「…う、ん」

「さっきは驚かせてごめんなさい」

「う、ううん!そんなこと…ッ」

「団服、そこに置いておいて下さいね」

「あっ、ダグ!」


ダグはラビがこちらに来る前にすみれのもとを立ち去っていく。


「…さっきの事は気にしないで」


眉を八の字にし、申し訳なさそうな笑顔でダグは言う。
じゃ、また と、いつもの優しい笑顔で手を振り今度こそ走って行ってしまった。



「すみれー♪」

「…ラビ、お疲れさま」

ダグとすれ違いざまにラビが駆け寄ってくる。
ラビの弾けんばかりの笑顔を見て、先程の会話を思い出してしまう。



(…そうかなぁ、ダグにはそんな風に見えるのかなぁ)

なんか、勿体ないな

すみれはダグの団服をギュッと握りしめた。
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