第15章 繰り返すモノ
すみれは可愛いと思う
以前オレが好きになった女性
でもそれが今の好きな人になるわけではない
だってオレのタイプの女性は、年上お姉さんだし?未亡人とかだし?
あと、色気はある方がいい
その辺は昔から変わらないさ!
チラッとすみれを盗み見る
「なに食べよっかな!今日のオススメはっとー」
ボサボサの髪を1つにまとめただけで、素っぴんで目が充血してる。
たぶん、昨日も徹夜だったんだろうな
「…………無ェさ、うん」
微塵もタイプではない
ストライクなんて有り得ない
オレもあれからイロイロなお姉さん達みて、目は肥やしたからな
「そうだね、A定食は終わっちゃったね」
「…B定食にするさ」
そうだけど、そうじゃナイ!
「あっ、ジェリーさーん!注文お願いしまーす!」
「はぁーい!って、アンタ、すみれ!またそんな寝不足な顔してッ!!」
「い"っ!今日はちょっと〜…」
「ったく、もう!ちゃんと休まなきゃダメよっ!
…すみれのために、ジェリー特製の健康定食にしてあげるわ!」
「ジェリーさん!ありがとっ!」
(…どーでもいっか)
楽しそうなすみれを見ていたら、今はすみれとお昼を楽しんでいたい。そんな風に思ってしまった。
「結構食うんさね」
「疲れてる時こそ食べないと!」
「まだ休めねぇの?」
「うーん、もうちょっとで区切りつくから」
此処に来てまだ月日は浅いが、何度このやり取りをしただろう
「はい、ラビの報告書見せて?」
「ほい」
まだ報告書の書き方が慣れない、というのを理由にすみれのもとを訪れている。
「…いつもながら完璧だよ!もう私に見せる必要なんてないよ?」
「そんな事ねぇさ〜」
いや、報告書の書き方なんて初めから完璧である。ただ、すみれに会いに行くための口実でしかない。
「つーか、ちゃんとしろさね」
こんな生活、ずっと続けられるわけがない
いつか身体を壊してしまうだろう
「へ?はひふぉ?」
すみれは口にご飯を頬張りながら、かきこんで食べている。ハムスターか!
(…仕事に追われて、食べる時間も惜しいって?)
こんな姿のすみれは新鮮だなと思いつつ、やはり彼女の生活スタイルが心配になる。