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49番目のあなた【D.Gray-man】

第15章  繰り返すモノ



黒の教団に戻り、任務の報告をするため科学班へ顔を出す。



「あれ、すみれは?」

「あ、ラビ!医務室へ行ったよー」

「具合でも悪いんさ?」

「いや?気合入れに行くとか言ってたけど」

「……………またか」

すみれの奴。
きっと、“アレ”をしに行ったな















「いや〜ちょっと鼻血がね?出てしまいまして…」

「にんにく注射なんか打つからさ」


オレは冷たくズバッと吐き捨てる。
医務室からすみれを迎えに行き、その足で二人で食堂に向かう。


「ど、どうしても手を止める訳にはいかなくって…っ」

オレの不機嫌剥き出しオーラに慌てている。
すみれはまだ鼻を押さえながら言い訳を並べている。

その姿が、とても痛々しくて。


「ほんっと!いい加減にしろよな?」

「うう"……そ、そんなことより!任務、お疲れさま!





おかえりなさい、ラビ」

「……………おう」

「そこは『ただいま』、でしょ」

「そうさね」


なんだか気恥ずかしくて、その言葉を口にすることは出来なかった。



“ おかえり ”

(“いってらっしゃい”を、言われたときと同じさ)

むず痒いような、くすぐったいような。
胸がじんわりと熱くなる。


(ああ、きっと。以前から知り合いだからさ)



すみれのコト、好きだったし
一度惚れてしまった弱みに違いない。


(…あんなに必死に、すみれのこと忘れたのにな)


ずっと忘れていたのに、今は俺のすぐ隣にいる。
スゲェ変な気分。


オレはまだココで罪を償おうとするすみれを許せていない。
しかし、ココにいるすみれを求めている自分が居る。

仕方ねェだろ?
だってあんなに焦がれていたんだから



「傷ひとつなく帰ってきて、よかった!」

自分のことのように嬉しそうに言うすみれに、すっかり毒気を抜かれてしまった。

「すみれ」

「なに?」

「鼻血ついてる」

「…うそっ?!」

「ホラ」

隠そうとするすみれの手を退かし、優しく拭ってやる。

「うぅ"…恥ずかしいっ。ごめん、ラビに鼻血ついちゃう…!」

「いいって」

可愛い


色気皆無で疲労感を纏い、鼻血付けた間抜け面の女にこう思うオレって。相当ヤバいと思う。
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