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49番目のあなた【D.Gray-man】

第15章  繰り返すモノ




「さっきは怒りすぎて悪かったな」



リーバー班長に謝られてしまった。

「いえ!私がミスしたので…っ」

「頼りにしてるからな」


リーバー班長はポンッと私の頭に手を置いた。
それだけのことなのに、涙腺が緩む。


「班長ぉ…!」

「泣くなって」

「泣いてません…っ」

「リーバー君のお顔が怖いからだよぉ〜!」

「……元はと言えば室長、アンタのせいでストレスが…っ」

「じゃっ!僕はこれで!」

「逃げるな巻毛ェ!!」

二人の追いかけっこが始まってしまった。









「…眠い」

「疲れたぁ」

終わらない仕事、当たり前の残業。


「…ZZZ」

「おい、寝るな」

「起・き・ろ!」

「コーヒーいる人〜?」

「はーい!はーい!」

「こっちも〜!」



そして皆でリナリーの美味しいコーヒーを飲む。再び仕事とにらめっこ。
気づいたら寝落ち、そして目覚めて仕事する。


たまーに、たまにね?
変な薬作ったり、薬を盛られたり。

リナリーやジェリーさんと女子会したり、ジョニー主催のチェス大会したり。

そんな日々の繰り返し







たったそれだけの日々

たったそれだけのことなのに、今まで気づかなかった幸せが沢山あった。


ごはんが美味しいとか、徹夜明けの朝日が眩しいとか。
職場の会話が楽しいとか、頼り頼られるのが心強いとか。



「すみれ、こんにちは」

「こんにちは!ダグ」

すれ違う人と挨拶できたとか。


「タリズマン修理したけど、具合はどう?」

「調子良いよ、ありがとう!」

ありがとうって、言われて嬉しいとか。



貴族令嬢の時には、どうして気づかなかったんだろう。こんな当たり前の幸せ。
大切なことなのに、忘れていた。見失ってた。


貴族令嬢の時は、ただただ息苦しかった。
生まれ持ったモノで判断されるため、家柄、性別、財産、見た目で、だいたいが決まってしまう。


此処の人達は誰もそんなことで判断しない。私をちゃんと見てくれる。


「東洋人」「変わり者」「貴族令嬢」って言わないし、その肩書だけに囚われたりしない。





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