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49番目のあなた【D.Gray-man】

第15章  繰り返すモノ




良くも悪くも、黒の教団には色んな人がいて。
私は特別じゃなかった。






ブローカーに育てられたと知られたら、此処を追い出されるのではないか。
処罰や差別を受けると思っていた。

しかし、此処にはAKUMAに大切な人を殺された人が沢山いて。私のような境遇も特段驚かれることではなかった。



『…大変、だったな』

『今日からここがホームだよ』



世界は広くて 優しかった







“幸せになってはいけない”


そう思うのに
此処での日常は幸せが溢れている

孤独ぶるには、不幸ぶるには
みんなの優しさに触れすぎていた


予想もしてなかった現状に、決意や戒めが揺れ動く。






ーーーーーそんな時、
大好きだったディックが“ラビ”として現れた。



『ーーーなぁ、すみれ!』

『すみれ〜っ♪』



以前よりも距離感が近い。
物理的にだろうか?以前は屋敷に来てくれたものの、窓越しだったからだろう。きっとそうだ。


胸を躍らせている自分がいる


昔好きだった気持ちが、再び溢れそうになる。
………いや、こらは仲間としてだ。そうに違いない。





「すみれ、最近変わったよなあ」

「え?そう?」

タップに声をかけられる。
二人とも目と手を話せないため、互いにそっぽを向きながら話す。

「なんか楽しそう」

「ラビが来たから?」

ジョニーも会話に入ってきた。

「そっ、そんなんじゃ…」

「ラビもすみれに懐いてるもんな」

「…以前から知り合いだったからだよ」

「貴族令嬢だったんだってね!」


も、もう知られてる…っ!


「それ聞いて納得したわ」

「え?」

「なんか品があるもん、すみれって!」

「育ちが良いんだろうなーとは思ってたけどな。だからラビが心配してよく来るんだろ?」

「な、なんで?」

「こんなキッツい労働、したことないだろ?いっつもラビはすみれのこと気にかけてるもんな」

「ほんと、しょっちゅうすみれの所在聞いてくるよね!よっぽど心配してるんだと思うよ」

「…」

「すみれ?」

「ううん、何でもないよ」





もう恋なんてしない

何度も自分に言い聞かせる。
そう言い聞かせている時点で、手遅れになっている事に私は気づかなかった。

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