第3章 出会い
「難しい本を読んでるさね」
突然、私の真横から声が聞こえた。
「わっ?!」
ビクッと体がひどく飛び跳ねた。
声がした方へ目を向けると、赤髪で隻眼の少年が窓際に頬杖を付いて私の本を覗き込んでいた。
彼が近寄ってきた気配に全く気づかなかった。
「そんなに驚かんでも!」
俺の方がびっくりするさ!と、胸に手を当て大袈裟に驚いていた。
どこの子息?
叔父様の招待客の子かしら…
「日本文学が好きなんさ?
すみれ嬢はもしかして、日系なん?」
アジア系かなとは思ったけどー、なんて言いながら再び私の本を覗き込む少年。
私のことを色々知っているなら、おそらく招待客の子だろう。それにしても行動といい、発言といい
極まりなく失礼だ
人種の話題なんて有り得ない!
思いっきり嫌な顔をしてつっけんどんに答える。
「…日系人よ。」
「やっぱりさ!黒目黒髪は特徴的だもんなー」
私の態度をものともせず少年はニコニコと話す。