第3章 出会い
これは、私が黒の教団に入団する数年前の話。
私の今の姿から想像出来ないが、欧米某国で貴族令嬢をしていた。
両親が事故死し、遠い親戚にあたる叔父と叔母に引き取られた。そこではとても裕福な生活をさせてもらっている。
社交ダンスにお茶会に、礼儀作法を習得の日々。
有望株の男に見初められるよう、素敵なレディになるために努力する。
しかし、実はあまり興味はない。
叔父と叔母にお世話になっている手前、言われることは素直に聞いている。幸い、結婚を急かされることはない。
そんな日々の中で一番の楽しみは勉学だ。
貴族令嬢には必要ないと言われるが、叔父叔母は許容してくれているので本を読み漁る日々。
数学と言語学、この2つにハマっている。
数式から1つの答えを追求していく数学の魅力に惹かれた。
他言語を習得することで、自分の知らない文化や生活を知り世界が広がる言語学の楽しさに没頭していた。
お城のような家の、1階の書庫室に独りでこもることが好きだ。
そこは薄暗くて日当たりも悪くまるで独房のようだが、誰にも邪魔されず過ごすことができる。
今日は言語学にしよう。日本文化に触れたい。
英和辞典と日本文化の歴史書と…と、適当にいくつか手に取る。窓際にある簡易的な机と椅子に座り読みふけることにした。